※2022年4月22日 最新情報に更新しました。
病院の省エネについて、設備導入による改善方法を
省エネ効果の高い順に「ベスト10」としてご紹介します。
※「人の手による運用」での省エネについては、下記に詳しくまとめてあります。ご参照ください。
上記の「運用編」では、費用をかけずに行える省エネ方法を中心にご紹介しましたが、
という方もいらっしゃるかと思います。
このページでは「病院の省エネ<設備編>」として
「設備改善で効果の高い施策ベスト10」を「具体的な削減率」付きでご紹介します。
ぜひ貴院の省エネにお役立てください。
目次
「運用編」でもご紹介しましたが、病院における消費電力比率をもう一度確認しておきましょう。
ご覧いただくとお分かりの通り、
病院における消費電力は「空調」と「照明」が多くの割合を占めています。
「運用編」でも削減効果が最も高い施策は「空調」への省エネでした。
この記事では「設備編」のベスト10をご紹介しますが、
やはり設備での省エネにおいても、空調への省エネ施策が最も効果が高い傾向が見られます。
それでは具体的に、削減効果の高いベスト10を見て行きましょう。
順位 | 施策 | 省エネ率 | 年間削減金額 |
1位 | 高効率冷凍機 の導入 | 5.6% | ¥1,389,000 |
2位 | 冷凍機 の運転時間短縮 | 3.7% | ¥928,000 |
3位 | 高効率空調機 の採用 | 2.7% | ¥665,000 |
4位 | ボイラーの効率管理 | 2.0% | ¥508,000 |
5位 | 変圧器 の台数削減 | 1.9% | ¥464,000 |
6位 | 冷温水ポンプ の回転数制御 | 1.2% | ¥292,000 |
7位 | 高効率照明の採用 | 0.9% | ¥219,000 |
8位 | 蒸気配管の保温 | 0.3% | ¥65,000 |
9位 | 高輝度誘導灯の導入 | 0.2% | ¥43,000 |
10位 | 最大電力の抑制 | - | - |
合計 | 18.5% | ¥4,571,000 |
※省エネ率・・・その施策で削減できた金額の割合
※調査した6病院の運用改善対策における改善金額の平均値を元に
5,000㎡の病院に当てはめ試算した効果です。
出典:東京都環境局 東京都地球温暖化防止活動推進センター「病院の省エネルギー対策」
「運用編」では合計で「9.5%」の削減率でしたが、
設備導入や見直しによる削減効果は、約2倍の「18.5%」となっています。
さらにここには記載されていませんが、エネルギー消費の削減だけでなく、
システム等の制御によって「従業員や患者さんの手間を軽減できる」という
大きなメリットを得ることができます。
前述した通り、設備による省エネにおいても「空調」に関連する施策が多くを占めています。
ランキング中、実に4項目が空調に関連した施策になります。
この空調関連の合計省エネ率も「13.2%」となっており、
ご紹介する設備への省エネ対策全体の「71%」を占めています。
このように、設備も運用も「空調の省エネ」が大きな鍵を握ります。
それでは、早速順番に施策内容をご紹介していきます。
ご紹介する施策の中で、最も効果が期待されるのが「高効率冷凍機 の導入」です。
上記でご紹介したランキングでも群を抜いて削減効果が高く、省エネ率5.6%
年間削減額も¥1,389,000と非常に高い効果が想定されます。
冷凍機 とは、簡単に言ってしまうと「空調において空気を冷やすための機器」です。
病院においては、セントラル空調 を採用しているケースが多いため、
屋上に設置されているのが一般的です。
屋上にある 冷凍機 で冷やされた空気を院内に運んでいます。
旧式の冷凍機と比べて、最新の冷凍機は省エネ機能が上がっています。
こうした最新の性能が高い冷凍機のことを「高効率冷凍機」と呼んでいます。
それでは古い機器と比較して、最新の 冷凍機 はどれほど性能が上がっているか見て行きましょう。
上の図は「COP」という係数をベースにして、省エネ性能の推移をグラフにしたものです。
「COP」は「冷凍能力の省エネ性能」だと解釈して頂ければ分かりやすいです。(下記参照)
例えば「小形」の場合、1990年代後半と比較して
2017年にはおよそ「1.3倍」の省エネ効率になっていることがお分かり頂けるかと思います。
COP とは、その 冷凍機 が定められたエネルギーの中で、何倍の冷凍能力を発揮できるか?
を示した係数です。
例でも示したように、1990年代後半のCOPが1であるのに対し、
2017年には1.3となっている場合、同じエネルギー消費量で1.3倍の冷凍能力があることを示しています。
まずは現在設置されている 冷凍機 が、いつ頃に導入されたものか確認してみてください。
上記のグラフに当てはめて考えた際に、どれほどの省エネ性能アップができるか?
おおよその目安がご確認いただけるかと思います。
日立のインバータ制御冷凍機では、15年前の旧モデルと比較してランニングコスト及びCO2排出を57%削減可能との紹介もあります。
各メーカーが紹介している最新機種への切り替えは、冷凍機 の消費エネルギーをおよそ半分ほどまで低減できる比較例が多く紹介されています。
高効率冷凍機 に変えることで得られる省エネ効果は、
現在お使いの 冷凍機 の年式や機器の状態によって大きく変わってきます。
まずは現在の冷凍機をご確認いただき、
導入費用と現在の冷凍機に使用しているエネルギーを踏まえて、回収期間を見ながら導入を検討すると良いでしょう。
下記に主要メーカーの 高効率冷凍機 をご紹介します。
買い替えのご参考にお使いください。
続いて2位の「冷凍機の運転時間短縮」について解説して行きます。
東京都環境局のデータによれば、「冷凍機の運転時間短縮」で省エネ率は3.7%、年間削減金額は¥928,000実現可能とされています。
それでは具体的に「冷凍機の運転時間短縮」とは何をするのでしょうか?
確認していきましょう。
外調機(外気処理空調機)を見直すことで、冷凍機の運転時間を削減し、エネルギーを削減することができます。
空調を使用する際には外気を導入する為、そのままでは夏は暑い空気、冬は冷たい空気を取り込み、空調に大きな負担がかかります。
そこで、空調機に取り入れる前に外気をある程度最適な温度に近づける為、外調機(外気処理空調機)が使用されます。
病院には、MRIやCT等の年間を通して冷房が必要なエリアがあります。
冬季にはうまく外気を利用し、冷凍機の運転時間を削減することで省エネを実現することができます。
一般社団法人省エネルギーセンターでは、
この手法を用いて、年間「1,200万円」のエネルギーコスト削減に至った事例が紹介されています。
参考:一般社団法人省エネルギーセンター「外調機を利用した冷水製造」
「運用編」でもご紹介しましたが、ゼロエナジーバンドコントロール を導入することで、運転時間を削減することができます。
ゼロエナジーバンドコントロール とは、空調を稼働させる温度設定を「点」ではなく「帯」で温度調整するシステム、またはその機能を持った機器やソフトのことを言います。
従来の空調では、設定温度を仮に28℃に設定した場合、少しでも28℃から室温が変わった際には運転が開始されます。
ゼロエナジーバンドコントロール を搭載した空調では、28℃から「1~3℃」以上気温が変わった際に、空調が運転を始めます。
つまり、運転開始する室温に「幅」を持たせることで、運転時間を削減することができるのです。
アズビル株式会社「外ネットワークBAシステム savic-net FX2」
「ナイトパージ」は「運用編」でもご紹介しましたが、
夜間に空調を外気導入に切り替えることで夜間に室内を冷やしておき、翌朝の空調起動時の負担を下げる手法です。
「夜間に空調を操作する」ことは運用編でご紹介しましたが、
「外気温」や「稼働させる時間」を人の手で精密に運用することは困難でもあります。
あくまで「夜は換気にしよう」というところまでが、
実際には人の手による運用でできる範囲でしょう。
この ナイトパージ をシステムによる自動制御で行うのが「ナイトパージシステム」です。
外気温と室温を比較判断し、外気導入を自動調整します。
常時細かな調整をシステムで行う為、人の手による運用よりも最適な運転が可能になります。
病院は24時間稼働している部門が多い施設です。
ナイトパージシステム は、外来部門や管理部門、共通部などに使用することが多いでしょう。
また、病棟部門でも外気温に応じて、外気導入量 を調整できれば省エネに繋がります。
3位は「高効率空調機の採用」です。
東京都環境局のデータによれば、「高効率空調機の採用」で省エネ率は2.7%、年間削減金額は¥665,000実現可能とされています。
「高効率空調機」とは、小さなエネルギーで大きな冷房能力を持つ空調機器の事を言います。
特にセンサーや インバータ制御 を用いた省エネを実現している機器
のことを指している事が多くなります。
現在ご使用の空調機が、「いつ頃の機種なのか?」
「インバータ制御 が付いているか?」等が、買い替えの判断材料になってきます。
それでは、業務用空調機の省エネ性能がどのように推移しているか?見てみましょう。
グラフの消費電力を比較すると、2017年発売モデルは2008年発売モデルと比較して約10%の削減が可能であることがお分かりいただけるかと思います。
続いて、4位のボイラーの効率管理について解説していきます。
東京都環境局のデータでは、ボイラーの効率管理による省エネ率は「2.0%」、年間削減額は「¥508,000」とされています。
「ボイラー効率」とは「燃料のエネルギーの何%が蒸気に変換されたか」を示す指標です。
燃料によって作られた熱量は、すべて蒸気に変えられるわけではなく
熱の一部は外に逃げてしまいます。
例えば燃料で作られた熱量の10%が外に逃げてしまった場合、ボイラー効率 は「90%」となります。
つまりこの逃げた「10%」は使われないにも関わらず、燃料費だけはかかってしまう為「エネルギーを無駄にしている」と言えるわけです。
それでは、より ボイラー効率 の高い製品を選ぶために必要な予備知識をご紹介します。
まず ボイラー効率 の推移を確認してみましょう。
出典:月刊クリーンエネルギー「ボイラーの性能改善 性能改善の歴史と技術の変遷」
グラフをご覧いただくとお分かりのように、ボイラー効率 はボイラーの新技術の発展と共に、定期的に上昇しています。
但し、こちらは2008年までの少し古い資料になります。
近年では「ボイラー効率99%」の製品なども生まれてきています。
参考:SankeiBiz「業界最高効率99%の小型貫流ボイラー発売」
「ボイラー効率 の高い製品」を探していると
「100%を越えている」製品が紹介されていることがあります。
こちらには混同を避ける為、少し注意が必要です。
ボイラー効率 の計算に用いる熱量は「高発熱量」「低発熱量」のいずれかになります。
「100%を越える」ケースは「低発熱量」を元に計算した ボイラー効率 になります。
(前項で説明した ボイラー効率 は「高発熱量」を元に計算されています。)
「低発熱量」の場合
「燃料の中に含まれる水分から生まれる蒸気」も含めた蒸気量で計算されています。
その為、実質的には100%を越える結果になるので間違っていませんが、
高発熱量を元に計算した ボイラー効率 と混同しないようにしておく必要があります。
買い替えを検討する為には、まず現在使用しているボイラーの効率を知っておく必要があります。
ボイラー効率の算出方法には「入出熱法」と「熱損失法」があります。
どちらも得られる結果は同じですので、得られるデータが揃えやすい方を利用すると良いでしょう。
ボイラーの効率を「使用した熱量」の内「蒸気として使用できた熱量」の比率を出す方法です。
単純に ボイラー効率 の考え方そのままを式にした計算方法です。
「入出熱法」とは反対に、無駄になってしまった「熱損失」の割合を計算し、そこから ボイラー効率 を算出する計算法です。
このように、まずは自社の ボイラー効率 を調査し、最新機種等と比較検討していくと良いでしょう。
ボイラーの人気製品ランキングを下記にご紹介します。ご参照ください。
参考:IPROS「ボイラ – 企業45社の製品一覧とランキング」
続いて5位にランクインしているのが「変圧器の台数削減」です。
冒頭でご紹介したランキングでは、省エネ率1.9%、年間削減金額¥464,000となっています。
変圧器(トランス とも言います)は、電力会社から送られてきた電気を、
院内で使えるように電圧を変換する機器のことです。
電力会社から入ってきた電気は、そのままの電圧では施設内で使えません。
院内で使える電圧を変えてあげる必要があるのです。
変圧器 は キュービクル という機器の中に入っています。
キュービクル は、屋外などに設置されている写真のような設備です。
変圧器 の台数削減が省エネになる理由をご理解いただくには、
変圧器 の仕組みをご理解頂く必要があります。
要約して解説していきます。
変圧器 は、下のイラストのような構造をしています。
図のように「鉄心」に「銅線」が巻かれている、非常にシンプルな構造です。
変圧器 は、「電力会社から入ってきた電気を受ける銅線」と「施設内に出ていく電気を流す銅線」の「巻き方」を変えることで、電圧を変えています。
分かりやすく、例をあげて具体的に見て行きましょう。
1.まず「1,000V」の電気を「巻き数1,000」の銅線(一次巻線)で「1,000V」で受け取ります。
2.その「1,000V」が「鉄心」を通って流れ、二次巻線に向かいます。
3.二次巻線は「巻き数100の銅線」になっており、受けた電気を「100V」に変換します。
4.そうして100Vに変換された電気が、施設内に流れていくという仕組みです。
変圧器 の構造と、電圧を変える仕組みはご理解頂けたかと思います。
この 変圧器 の中には、2種類の電気の損失があります。
「無負荷損」とは、電気が「あまり流れていない流れていないとき」にも発生してしまう、
電気の無駄による損です。
電力負荷が無いときにも発生する損なので「無負荷損」と呼ばれています。
対して、銅線に流れる電流の2乗に比例して、エネルギーの無駄が大きくなるのが「負荷損」です。
つまり電気を使用するほど、無駄が大きくなるのが「負荷損」なのです。
電力負荷が大きくなるほど損が増えるので「負荷損」と言います。
この 無負荷損 を抑える最も大きな省エネ効果を得られる方法としては
アモルファス変圧器の採用が効果的です。
アモルファス変圧器は、鉄損が最も小さく、省エネ補助金の対象にもなりますので
一度採用を検討してみるのも良いでしょう。
続いて、6位の 冷温水ポンプ について解説して行きます。
前述しましたが、こちらも空調に関する省エネになります。
冷温水ポンプの回転数制御では、省エネ率1.2%、年間削減金額292,000円が見込まれています。
冷温水ポンプ とは、前述した「冷凍機」で作られた冷温水を
「室内空調機」に運ぶためのポンプのことを言います。
運ばれた冷温水を使って、空調機で温度をコントロールします。
古い型式の 冷温水ポンプ をお使いの場合には、冷温水を送り出す流量は一定の場合があります。
しかしながら、冷温水を受け取って空調を調整する「熱交換器」では、設定温度に応じて必要な冷温水の量が変わってきます。
そこで、室内空調機や 熱交換器 で設定された温度に合わせて、
冷温水を送る量を インバータ制御 で制限します。
一定の同じ量を送るのではなく、温度設定に合わせて最適な冷温水を送るようにポンプを自動制御することで、エネルギーの無駄を削減できるのです。
続いて「高効率照明」について解説して行きます。
「照明」は病院で使用される電気量の中でも「37%」で2位と、
1位の空調の38%とほぼ変わらない量の電気を使っています。
「高効率照明」を採用することで、省エネ率0.9%、年間削減額219,000円が見込まれています。
高効率照明とは「既存の照明よりも省エネルギー化された照明」のことを指します。
その代表的なものは、ご存知の通り「LED」です。
照明をLEDに変えることで、災害時にもメリットを得ることができます。
災害時においては、限られた非常用電源で医療施設を維持する必要があります。
限られた電力の中で照明を維持する際、LEDは消費電力の負担軽減に役立ちます。
LEDは、従来の蛍光灯に比べて、破損時に破片の飛散が少ないという特徴があります。
地震などで電球が破損した際にも、従来の電球ほどの危険性が少ない点も利点にひとつです。
これも病院ならではの非常に大事なことです。
省エネに取り組みながらも、体が弱っている患者さんに明るい気持ちになっていただく為には、
明るい照明は重要です。
患者さんの心休まる治療空間を維持する。
これも省エネと同時に考えておかなければならないことです。
LEDは輝度が高く照度はFLなどと比べると低い傾向にあります。
光源を見つめると眩しいというのは輝度です。
改修工事では照度がどれくらい落ちるのかをシュミレーションで確認したりします。
「LED」が注目されて年数は経ちますが「照明の2020年問題」という言葉をご存知でしょうか?
いよいよその「2020年」になりましたので、簡単にご紹介します。
内閣府は新成長戦略において「次世代照明の100%化」を掲げています。
2020年までに出荷される照明の100%を次世代照明(LED等)にすること。
2030年までに設置されている照明の100%を次世代照明(LED等)にすることを目標に掲げています。
内閣府の方針を受けて、大手メーカーも次々に生産を終了しています。
このように、LED化がまだ進んでない場合には
さまざまなメリットだけでなく、生産終了後のリスクに備えて導入を進めておくことが大切です。
続いて、蒸気配管の保温について解説して行きます。
「蒸気配管の保温」で、省エネ率0.3%、年間削減額65,000円が見込まれています。
削減率は大きくないように思われますが、導入コストも他と比べて安く、取り組みやすい施策です。
ボイラー本体は保温されていますが、配管やバルブは保温されていない場合があります。
蒸気温度は100℃以上にもなる為、配管などから逃げてしまう熱エネルギーも無視できません。
グラフをご覧いただくとお分かりのように、
蒸気温度が高くなるほどエネルギーロスは大きくなります。
このため、配管やバルブを保温材で保温することで、放熱を防ぎ省エネを行います。
「火傷などの安全上の問題」や「放出した熱の冷房への悪影響」を改善する効果もあります。
上記でご紹介した例とは異なりますが、
東京都環境局で紹介されている改善事例では、年間削減額「159,000円」に至っている例も
紹介されています。
ボイラ・蒸気配管の保温施工改善事例
■ 現状の配管保温未施工・放熱部分:10m 平均配管径:50A
■ 蒸気ヘッダー部の保温未施工部直管相当長さ:3箇所×1.22=3.7m
■ 現状のボイラ都市ガス使用量:年間:72,293m3/年
■ 操業時間:15.5時間/日×365日/年=5658時間
■ 蒸気圧力:7.0kg/cm(温度 2 :169℃)
■ 放熱量:500W/m、ガス発熱量:9400kcal/m3
■ 配管放熱量=(10+3.7)m×500W/m×5,658h/年÷1000=37,757kWh/年
■ ガス換算量=37,757kWh/年×860kcal/kWh÷9400 kcal/m3÷1000=3.45km3/年
■ 原油換算削減量=3.45km3/年×1.16 kL/km3=4.00kL/年
■ 温室ガス削減量=3.45km3/年×2.31t/km3=7.97t/年
■ 節減金額=3.45km3/年×46.0千円/km3=159千円/年
■ 投資金額=200千円 回収年数=1.3年
続いて「高輝度誘導灯」の導入です。
「誘導灯」とは、上のような非常口を示す誘導灯のことを指します。
高輝度誘導灯の「高輝度」も、前項の高効率照明の「高効率」と
同じ意味だと考えて頂ければと思います。
つまり「LED化」と考えて頂ければ分かりやすいです。
誘導灯のLED化は、あまり大きな省エネには繋がらない印象があるかもしれません。
しかしながら、上記の東京都環境局の試算では年間43,000円、
また九州電力が同様に5,000㎡で紹介されている例では、年間100,000円の削減が紹介されています。
続いて「最大電力の抑制」です。
こちらはランキング内では省エネ率や削減金額が掲載されていませんでしたが、
実は大きな削減と同時に「BCP対策」にもなる非常に効率の良い省エネ手法です。
最大電力の抑制とは「1日の中で特に電気を使う時間帯の電力を削減する」ことを言います。
では何故最大電力の削減が重要なのでしょうか?
「最大電力の抑制」は電気の「基本料金」の削減に繋がるのです。
電気の基本料金は「最大デマンド」という値を元に計算されています。
この「最大デマンド」は「過去1年間の中で最も電気を使用した1時間の電気使用量」によって決まります。
つまり、過去1年間の中で1時間でも電気を多く使い過ぎてしまうと、
「1年間もの間、毎月の電気の基本料金が高くなってしまう」のです。
この「最大デマンド」を下げる方法として「ピークカット」という手法が有名です。
図のように、最も電気を使う時間帯の消費電力をカットする手法です。
どのようにして、この「ピークカット」を実現していくか?
次の項からご紹介していきます。
それでは、最大電力を下げるにはどのような方法があるのでしょうか?
順番に方法を見て行きましょう。
まず最大電力を抑制する方法のひとつとして
「エネルギーマネジメントシステム」を導入する方法があります。
「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」とは、病院内で使用している電気の状況を見える化したり、制御することができるシステムです。
この「エネルギーマネジメントシステム」を使い、使用電力のピークを迎える時間帯に自動的に電力消費を抑えることが可能になります。
そうして 最大デマンド を下げ、基本料金を抑えることが可能になるのです。
エネルギーマネジメントシステムについて詳しくお知りになりたい方は、こちらをご参照ください。
東芝三菱電機産業システム株式会社:エネルギーマネジメントシステム
続いて、ピーク時の使用電力を下げる手法として一般的なのが「太陽光発電」の導入です。
太陽光発電は、文字通り太陽光で発電する設備です。
つまり最も電気を使う「昼間」に太陽光発電で作った電気を使用することで、電力会社から購入する電気量を大きく削減することができます。
前述した「エネルギーマネジメントシステム」も基本料金を削減できますが、
あくまで「抑制」という形になる為、現在使っている電力の天井を決める形になります。
太陽光発電の場合は、電気を創った分、買う電気をそのまま減らすことができますので
最大デマンド の下げ幅は導入前より大きく下がることになり、
基本料金の削減額も大きくなります。
太陽光発電の場合、基本料金を下げるだけでなく、当然ですが電気を創る分電力会社から買う電気を削減することができます。
基本料金のみならず、電気代そのものも削減できるのです。
さらに太陽光発電は、災害時の非常用電源としても活用できる為「BCP対策」にも役立ちます。
電気料金の削減と同時に、災害に備えることができる点もメリットのひとつです。
太陽光発電について詳しくお知りになりたい方は、こちらをご参照ください。
災害時の非常用電源に用いられる「蓄電池」にも、ピークシフト で基本料金を削減できる機能が付いたものがあります。
ピークシフト とは、ピークカット と似た 最大デマンド の抑制方法です。
図のように、電気をあまり使わない、電気代も安い夜間に蓄電池に電気を貯めておき、
最も電気を使う時間帯に放電。ピーク時に電力会社から購入する電気量を削減する手法です。
「蓄電池」は本来、災害時の非常用電源として導入を検討される設備です。
しかし、導入の際にはこうした「電気料金削減」機能も視野に入れた
検討をされるのも良いかと思います。
蓄電池はもちろん、さまざまな非常用電源について解説しています。
よろしければ下記をご参照ください。
▼より詳しくはこちらの記事をご参照ください
いかがでしたでしょうか?
設備導入による「病院の省エネ」方法について、
さまざまな方法をご理解頂けたのではないかと思います。
簡単におさらいしていきましょう。
ぜひまだ貴院で実施していない施策などありましたら、ご検討ください。
貴院の省エネにお役に立てれば幸いです。