※2024年9月27日 最新情報に更新しました。
近年電気料金の値上りが続いており、
企業担当者にとって大きな悩みの種となっているのではないでしょうか?
このページでは、 電気料金削減に効果的な、
ピークカット と ピークシフト について、5分で概略がわかるように冒頭で解説し、
より詳しく知りたい方向けに、後半にはさらに掘り下げた内容を解説しています。
最後までお読みいただければ ピークカット と ピークシフト に関して
導入方法までひと通りご理解いただけるようになるかと思います。
ぜひ本記事を貴社の省エネ施策にお役立ていただけますと幸いです。
それではまず最初に、 ピークカット と ピークシフト について、簡単に説明していきます。
ピークカット とは、「最も電力を使う時間帯の電力購入量を削減して、電気料金を抑える施策」です。
電力使用量がピークの時間帯の電力購入量をカットすることで、
「電力量料金」に対するコスト削減につながります。
さらに「基本料金」も安くできるため、
ふたつの効果によりコスト削減が期待できます。
特にポピュラーなピークカット の手法が「太陽光発電の導入」です。
エネルギーマネジメントシステム(EMS)によるピークカット
ピークカットの手法のひとつとして、エネルギーマネジメントシステム(EMS)があります。
エネルギーマネジメントシステム(EMS)は、エネルギーの使用状況をデータ化して「見える化」する仕組みです。
これにより、ピーク時の電気使用量を効果的に管理することで、ピークカットを実現します。
また、太陽光発電に比べ、低コストで導入できるのが魅力です。エネルギーマネジメントシステム(EMS)について、より詳しく知りたい方はこちら
ピークカットとよく比較される施策としてピークシフトがあります。
ピークシフト とは、「電力使用量が少ない時間帯に電気を蓄えておき、多く使用する時間帯に使う施策」です。
例えば昼間の電力使用量が多い会社や工場の場合、
電力使用量が少なく電気料金も安い夜間や早朝に、蓄電池などに電気を蓄えておきます。
その蓄えた電気を昼間に放電して使うことで、
ピークカット 同様に「電力量料金」と「基本料金」の削減が期待できます。
ピークカットとピークシフトについて、簡単にご説明しましたが、
ピークカット とピークシフト の違いは、電力消費のピーク時に焦点を当てた手法の違いです。
ピークカットは「ピーク時に電力会社から購入する電力量自体を抑制する」ことであり、
ピークシフトは「ピーク時以外に購入した電力をピーク時に使用する」手法です。
導入方法の違いとしては、
ピークカット はEMS か太陽光発電で、ピークシフトは蓄電池を導入する方法が一般的です。
どちらの手法も共通して電気料金のコスト削減が主な目的です。
ここまでで、 ピークカット と ピークシフト について簡単にご理解頂けたのではないかと思います。
さらに詳しく知りたい方は続きをぜひご覧ください。
続いてピークカット やピークシフトで、
電気料金が削減できるメカニズムについて詳しく解説していきます。
ピークカット やピークシフト を導入することによって、
当然ではありますが、購入する電力量を減らすため、電力量料金を削減できます。
前述の通り、ピークカット を行う場合、太陽光発電を導入するのが最もポピュラーな方法です。
太陽光発電の場合、最も電力を使う昼の時間帯に発電した電気を使うことができるので、
ピーク時の電力量料金を削減することができます。
このように自社施設で使用するための太陽光発電システムを 自家消費型太陽光発電 といいます。
▼自家消費型太陽光発電についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください
前述の通り、ピークシフト を行う場合、蓄電池を導入するのが最もポピュラーな方法です。
蓄電池を使用した場合、夜間の電気料金の単価が安い時間帯の電気を蓄電池に貯めて使用するため、昼間の電力量料金を抑えることが出来ます。
例えば、東京電力エナジーパートナーのデータを参考に価格差を見てみると、
– ピーク時:23円20銭
– 夜間:15円74銭
このように、ピーク時にくらべ夜間の単価が約32%も安いことがわかります。
これだけでも蓄電池を使って夜間に電気を貯めることのメリットを実感していただけると思います。
さらに、ピークカット や ピークシフト では、 電気料金の基本料金も削減できます。
まず、基本料金がどのようにして決まるのか解説していきます。
電気料金は、「基本料金」と「電力量料金」によって構成されています。
ひとつひとつ分けて説明していきます。
電力量料金の決定方法は、「当月の使用量」×「単価」によって決まります。
電力を使った量に単価を掛け合わせた金額のため、イメージしやすいかと思います。
基本料金は、「契約電力」×「単価」×「力率割引」によって決まります。
この構成要素の中でも、「契約電力」の決定方法の理解が大切です。
※1 本題から外れるため、詳細は割愛しますが、力率とは、電源から送り出される電力に対して、実際どれくらい電力が消費されたかを表す比率です。
では、基本料金を決める構成要素の「契約電力」とはどのように決められているのでしょうか。
「契約電力」は、過去1年間の 最大デマンド に基づいて決まります。
この 最大デマンド が基本料金を決定するにあたって大変重要なポイントになってきます。
最大デマンド とは「直近1年間で最も電気を使用した時間帯(30分間)の電気使用量」のことです。
この 最大デマンド の数値がその後1年間の契約電力を決定することになります。
過去1年間の毎月の最大電気使用量の推移をまとめたものが、上の図です。
この図の場合、3月の電気料金を決定する際、3月の最大電気使用量が350kWのため、 最大デマンド を350kWとして「契約電力」が決まると直感的に感じるかもしれません。
しかし、実際には直近1年間のうち、8月に最も電気を使用した時間帯があり、その最大デマンドは500kWとなります。
つまり、この場合には500kWが契約電力になります。
たった30分間電気を使い過ぎただけで、1年間の基本料金が上がってしまうため、
最大デマンドの影響の大きさを感じていただけると思います。
実際に 最大デマンド を抑えた場合、
基本料金がどのくらい削減できるのかをシミュレーションしてみます。
■最大デマンドが65kWだったとき
65(kW)×1,890(円)×0.85(力率割引)×12(ヶ月) = 1,253,070円
■最大デマンドを 契約電力60kWまで抑えたとき
60(kW)×1,890(円)×0.85(力率割引)×12(ヶ月) = 1,156,680円
このように、たった5kw抑えただけでも、年間約10万円のコスト削減効果が可能になるのです。
ピークカット や ピークシフト を電気料金の削減効果やコストについて、
直感的に比較できるように順位形式で表にまとめたものが以下になります。
それぞれ解説していきます。
電気料金の削減効果が大きい順は、以下の通りです。
電気料金の削減効果は、「ピークシフト (太陽光発電+蓄電池)」が最も大きくなります。
太陽光発電は、昼間しか発電できないため、夜間に活用することはできません。
しかし、蓄電池を導入することで、昼間に発電した電気を蓄電池に蓄え、夜間の間に活用できるため、
太陽光発電の効果を最大限に発揮することができます。
CO2の削減効果が大きい順は、以下の通りです。
CO2削減効果も、「ピークシフト (太陽光発電+蓄電池)」が最も大きくなります。
再生可能エネルギーである太陽光発電の電力をメインに蓄電池も一緒に活用することで、最もCO2削減効果が大きくなります。
逆に、ピークシフト (蓄電池)の場合は、通常の電力を使用するため、CO2削減の効果は見込めません。
CO2削減は、企業にとって重要な取り組みとなってきています。
実際にAppleやトヨタ自動車なども、取引先へのCO2削減を求めており、
大企業だけではなく、中小企業でもCO2削減に取り組む重要性が感じられます。
CO2削減について詳しくは以下記事を参考にしてみてください。
導入コストが安価な順は、以下の通りです。
導入コストは、「ピークカット(EMS)」が最も安価になります。
コスト面からみたときに取り組みやすいのが、
EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入です。
EMSを導入することで、時間帯ごとの電気使用量を見える化できます。いつ、どこで、何の電気使用量が多いのかを確認できるため、一定値を超えたらアラートを発し、使用を控えたり、使用時間をずらすなどの対策が可能です。
また、電気使用量が一定値を超えた場合に、自動で機器を抑制してくれる、
デマンドコントローラーを使用することで、ピークカット を実現する方法もあります。
ピークカット やピークシフト を実施することで、「電気料金の削減」や「CO2削減」以外にも、
以下のようなメリットがあります。
契約電力を超過する電力を使用してしまった場合、契約超過金を請求されるケースがあります。
例えば高圧の小口で契約している企業が、
500kwを超過して電力を使用した場合に、契約超過金を請求される場合があります。
契約超過金が発生している企業で、短時間の電気使用量が超過しているだけの場合、
500kwを超えないようにコントロールすることで、契約超過金の徴収を防ぐことが可能です。
近年でも大きな自然災害が起こっており、非常時の電源の問題は顕在化しています。
蓄電池を導入しておくことで、非常用電源として活用することもできます。
非常用電源について詳しくはこちら
ピークカット や ピークシフトの導入方法についても、
改めて簡単にご説明します。
本記事でご紹介した通り、ピークカットで最もポピュラーな方法は、太陽光発電です。
自社施設で使用するための太陽光発電システムの 自家消費型太陽光発電 で実施することが一般的です。
費用については、規模によりさまざまですので一概には言えませんが、
補助金などをうまく活用し、初期費用を抑えることもできます。
また、導入時の費用やメンテナンス費用をかけずに太陽光発電を導入する
オンサイトPPAといった手法も出てきていますので、まずは専門の業者に相談し検討してみましょう。
自家消費型太陽光発電やオンサイトPPAについて詳しくはこちら
ピークカットの手法のひとつとして、エネルギーマネジメントシステム(EMS)があります。
エネルギーマネジメントシステム(EMS)は、エネルギーの使用状況をデータ化して「見える化」する仕組みです。
何にどれだけ電力が使用されているか把握することができるため、
デマンドコントローラーと組み合わせて、ピーク時の電力使用を抑えることで、
ピークカットを実現できます。
導入時のコストも、太陽光発電に比べ安価に抑えることができます。
蓄電池を導入することで、電気料金の安い時間帯の電気を貯めておき、
電気料金の高い時間帯に使うことができるため、コスト削減に繋がります。
蓄電池の導入に関しても、補助金が出ていますので、
うまく活用することで導入時のコストを抑えることができます。
ちなみに、ご家庭や小規模事業者様の利用されるエアコンにもピークカット の機能が導入されていることがあります。
霧ヶ峰などのエアコンのリモコンについている、ピークカット ボタン。
こちらを使用することで、最大電流値を抑えて運転してくれるため、
他の電気製品と同時に使用した際にブレーカーが落ちる場合の対策として使うことができます。
こちらのピークカット は、今まで説明してきた節電やコスト削減の意味合いとは少し違う文脈で使われています。
いかがでしたでしょうか?
ピークカット や ピークシフト は、電気の基本料金を下げ、電気料金を削減することに効果的であり、太陽光発電や 蓄電池 の導入により実現することが可能です。
太陽光発電設備や 蓄電池 を併用することで、災害時の停電といった万が一の場合にも役立ちます。
また、近年はCO2削減への意識の高まりからも、太陽光発電に注目が集まっています。
次に、自家消費型太陽光発電 について確認してみましょう。