省エネの教科書とは

【令和3年版】中小企業経営強化税制による太陽光発電の優遇措置を解説

※2021年4月23日:2021年の最新情報に更新しました。

太陽光発電の導入によって得られる支援政策の1つに、中小企業経営強化税制 が挙げられます。

企業の省エネや BCP対策 に大きく貢献する制度ですが、
中にはこの制度を正しく理解できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「そもそも 中小企業経営強化税制 ってどんな制度なのだろう?」
中小企業経営強化税制 は自分の会社も対象になる?」
即時償却 ってどういうこと?」

この記事では、太陽光発電を導入しようとしている中小企業の方に向けて、
令和3年(2021年)時点での中小企業経営強化税制について解説します。

期日に関する誤解」も多いので、この記事を参考に余裕をもって準備を進めましょう

※「蛍光マーカーが引いてある専門用語」にカーソルを合わせれば解説が表示されます。
省エネにあまり詳しくない方にも分かりやすい記事をお届けするため、
あらゆる専門用語に解説を付けています。どうぞお役立てください。

期限は2023年3月31日(令和5年)まで

中小企業経営強化税制 は何度か延長されていますが、再度令和5年度末まで延長されました。
現行制度は2023年3月31日(令和5年)まで延長されています

詳しくは後述しますが、
この期日とは「申請までの期限」ではなく「認定までの期限」を指している為、注意が必要です。

中小企業経営強化税制とは?

中小企業経営強化税制とは、簡単に言ってしまえば
特定の設備を導入した際に、国から支援が受けられる制度」のことです。

どんなメリットがある?

即時償却
・買付金額の税額を最大10パーセント控除

のいずれかを選択して適用できるため、企業の金銭的負担を大きく減らせます。

自家消費型太陽光が対象(投資用太陽光は対象外)

太陽光発電の種類は、自家消費型太陽光発電投資用太陽光発電 の2種類に分けられますが、
このうち前者の「自家消費型太陽光発電」が中小企業経営強化税制の対象となります。

投資用太陽光発電 や半分以上を売電するケースは対象外になります。

投資用太陽光と自家消費型太陽光について詳しくはこちら

【2021年最新】 自家消費型太陽光発電の4つのメリットと事例

似た制度「中小企業投資促進税制」

中小企業経営強化税制」と似た制度で「中小企業投資促進税制」という制度もあります。こちらは即時償却が30%、税制控除が7%で「中小企業経営強化税制」の方が内容が充実しており、選択する人が多くなっています。

引用:中小企業投資促進税制

税額控除の内容

先ほども解説した通り、中小企業経営強化税制では
買付金額の最大10パーセントの税額控除が受けられます。

しかし「資本金が3000万~1億円以下の法人」のみ、税額控除が7パーセントまでとなっています。

また、税額控除が受けられる上限は、その年の法人税額・所得税額の20パーセントまでとなっているので注意しましょう。

即時償却とは?

即時償却 とは、該当設備の買付金額をその年の経費に全額計上することです。

通常、買付金額は設備ごとに定められた年数に応じて、毎年決まった額を 減価償却 として計上しますが、即時償却 ではそれらを初年度に一括で計上します。

減価償却のしくみ

減価償却 では上記のように、買付金額を耐用年数に応じて、毎年分割して経費に計上します。
自家消費型太陽光発電 を導入する際には、通常はこの「減価償却」になります。

即時償却ではこうなる

即時償却 を選択した場合、上記のように一括で計上することができます。

即時償却のメリット

即時償却のメリットは簡単に言ってしまえば、
利益を圧縮することによって、初年度に支払う税金額を減らせることです。

具体的には、資金を早めに回収したり、回収した資金をすぐさま別の設備に投資するといった活用方法が考えられます。

税額控除と即時償却どちらを選ぶ?

先ほども解説した通り、中小企業経営強化税制 では「即時償却」か「買付金額の最大10パーセントの税額控除」のいずれかを選択して適用できます。

メリットデメリット
税額控除支払う税金の総額が減るすぐに節税効果は得られない
即時償却節税効果を短期間で得られる支払う税金の総額は減らない

基本的には、「長期的に考える場合は税額控除、短期的に考える場合は即時償却」といったように選択すると良いでしょう。

適用される企業の条件

中小企業経営強化税制が適用されるための条件は、以下の3つが挙げられます。

1.青色申告者 であること
2.個人事業主または中小企業者であること
3.対象業種であること

これらの条件を具体的に確認していきましょう。

1.青色申告者 であること

青色申告 は確定申告の種類の1つです。

代表的な種類としてはほかに白色申告が挙げられますが、このうち事業所得・不動産所得・山林所得を得ている個人事業主が 青色申告 をおこなえます。

2.個人事業主または中小企業者であること

個人事業主は、開業届を提出しているものの、会社を設立せずに事業をおこなう人を指します。
こちらはいわゆる「自営業」と言えば、イメージしやすいでしょう。

「中小企業者」とは?

それに対し、中小企業者は下記の条件を満たす企業を指します。

・資本金又は出資金の額が1億円以下の法人
・資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
・協同組合等

(中小企業等経営強化法第2条第2項に規定する「中小企業者等」に該当するもの)

引用:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

ただし以下の場合は対象外
1.同一の大規模法人から2分の1以上の出資を受ける法人
2.2つ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人
3.前3事業年度の所得金額の平均額等が15億円を超える法人

規模の大きな法人から出資を受けている企業の方は、詳しくチェックしておきましょう。

引用:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

3.対象業種であること

中小企業経営強化税制には対象業種も指定されています。
以下に一覧表を記載するので、貴社がそれに該当するかどうかのチェックにお役立てください。

〇対象業種一覧

中小企業経営強化税制の対象業種は以下の通りです。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業

 

鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業

 

小売業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業

 

料理店業その他の飲食店業
(一定の類型を除き、料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ
その他これらに類する事業を除きます。)

 

海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業

 

損害保険代理業、情報通信業、駐車場業、学術研究、専門・技術サービス業

 

不動産業、物品賃貸業、広告業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業
その他の生活関連サービス業

 

医療、福祉業、社会保険・社会福祉・介護事業

 

教育、学習支援業

 

映画業、協同組合(他に分類されないもの)

 

他に分類されないサービス業
(廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業紹介・労働者派遣業
その他の事業サービス業)

引用:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

×対象外業種一覧

その反対に、対象外業種は以下の通りです。

電気業
水道業
鉄道業
航空運輸業
銀行業
娯楽業(映画業を除く)
性風俗関連特殊営業

引用:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

注意が必要な対象外業種「娯楽業」

前述の一覧表にも記載されている通り、娯楽業は映画業を除き、中小企業経営強化税制 の対象とならないので注意してください。

ちなみに娯楽業の分類については、総務省が作成する『日本標準産業分類』に細かく記載されているので、こちらもあわせてチェックしましょう。

A類型とB類型

中小企業経営強化税制はA類型とB類型とC類型に分類される

中小企業経営強化税制では、該当設備を導入する目的によって
A類型B類型C類型の3つに分類されます。

太陽光発電が該当するのはA類型とB類型

2020年にコロナ禍を受けて、デジタル化設備導入強化の為「C類型」が新設されました。
こちらは通常の太陽光発電設備では対象となりにくいのですが、
A類型とB類型はどちらも太陽光発電で活用することができます。

太陽光発電が該当するのは「機械装置」

中小企業経営強化税制 には機械装置や工具、器具備品といった対象設備がありますが、このうち太陽光発電は「機械装置」にあたります。

これを踏まえたうえで、機械装置におけるA類型とB類型それぞれの取得条件を確認しましょう。

A類型とB類型それぞれの取得条件

 A類型B類型
販売開始時期10年以内特になし
必要書類工業会証明書経済産業局による確認書
要件生産効率や精度が旧モデルよりも
1パーセント以上向上している設備
投資利益率が5パーセント以上
見込める設備

A類型の取得条件

A類型は生産性向上設備と掲げられているため、要件に生産効率や精度などが含まれています。
また、該当設備の性能が優れているかどうかの指標として、販売開始時期が定められているのもポイントです。

B類型の取得条件

B類型は収益強化設備と掲げられているため、要件に投資利益率が含まれています。
また、A類型では定められていた販売開始時期が、B類型では特に定められていません。

A類型とB類型どちらを選ぶ?

10年以内に販売開始された設備ならA類型

基本的に、中小企業経営力強化税制を受ける際は、A類型を選ぶのがおすすめす。
A類型の方が自社で行う手続きが少なくて済むため、手間がかかりません。

A類型申請の流れ

上記の通り、作業の大部分はメーカーや工業会がおこなっているため、事務作業が少なく済みます。

B類型申請の流れ

それに対し、B類型に必要な「経済産業局による確認書」は経済産業大臣の確認を受けなくてはならないため、申請書の作成に手間が掛かってしまいます。
また設備取得後の定期的な状況報告も、自身で行う必要があります。

そのため、該当設備が販売開始から10年以内である場合はA類型を選びましょう。

中古等、10年以上前に販売開始された設備ならB類型

該当設備が10年以上前に販売されたものや中古品であった場合、必然的にB類型を選ぶことになります。

前述の通り、「経済産業局による確認書」は作成に時間が掛かるというデメリットがありますが、受けられる税額控除の内容はA類型と変わりません。

※期限に要注意

冒頭に説明した通り、中小企業経営強化税制は法改正により
2023年3月31日(令和5年)まで延長されました

しかし、この期限には注意しなくてはならないポイントがあります。

期限は申請ではなく「認定」までの期間

中小企業経営強化税制 における期限は、

「申請までの期限」ではなく「認定までの期限」である

ことに要注意です。

たとえば、「工業会証明書」は発行までに最大で2か月
経済産業局による確認書」は発行まで最大で1か月掛かります。

さらに担当省庁における計画申請から計画認定までにも約1か月かかります。

そのため、期限である令和5年3月31日の直前に準備し始めると、
認定が間に合わなくなってしまうのです。

A類型の期限目安

図のように、A類型の場合には申請から認定までに最大3か月かかります。

現行の認定期限に合わせると・・・
工業会証明書の申請:2022年12月31日まで
工業会証明書の取得と申請:2023年2月末日まで
認定の期限:2023年3月31日
(※上記はあくまでおおよその目安です。上記期限より余裕を持って進めておく必要があります)

B類型の期限目安

B類型の場合には申請から認定までに最大2か月かかります。

現行の認定期限に合わせると・・・
経産局確認書の申請:2023年1月31日まで
経産局確認書の取得と申請:2023年2月末日まで
認定の期限:2023年3月31日
(※上記はあくまでおおよその目安です。上記期限より余裕を持って進めておく必要があります)

A類型は手間はかからないが時間がかかる

前述の通り、A類型は中小企業者の手間はかかりませんが、
B類型に比べて、申請~認定までに時間がかかる傾向がありますので注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

中小企業経営強化税制 を理解するうえで、抑えておくべきポイントは以下の5つです。

1.現行の期限は2023年3月31日(令和5年)まで
2.自家消費型が対象。投資型は対象外
3.税額控除または 即時償却 を選択できる
4.A類型とB類型の2種類が存在するが、A類型のほうが手間が少なくおすすめ
5.期日とは「申請までの期限」ではなく、
  「認定までの期限」であるため、余裕をもって準備を進める必要がある。

いずれも見落としやすいポイントばかりなので、この機会にしっかり確認をおこないましょう。

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