省エネの教科書とは

【2020年最新】エネルギーマネジメントシステムの基礎と製品例

御社の施設や工場の省エネに具体的な効果は出ていますか?

東日本大震災においては電気料金が40%ほど上がり、
その後落ち着きましたがそれでも震災前と比べると値上がりしています。

そんな中、世の中ではエネルギーをいかに効率よく使うかが考えられ
エネルギーマネジメント」の重要性が叫ばれています。

しかしながら、

「エネルギーマネジメントシステムって何?」
「どんな効果があるの?」
「どうやって省エネに繋げるの?」

など分かりにくいことも多いのではないでしょうか?

この記事では、エネルギーマネジメントシステムEMS)の基礎知識から、活用方法や製品例まで
わかりやすく解説して行きます。
ぜひ御社の省エネの参考していただければと思います。

※「蛍光マーカーが引いてある専門用語」にカーソルを合わせれば解説が表示されます。
省エネにあまり詳しくない方にも分かりやすい記事をお届けするため、
あらゆる専門用語に解説を付けています。どうぞお役立てください。

「エネルギーマネジメント」と
「エネルギーマネジメント”システム”」の違い

まず「エネルギーマネジメントシステム」を知る上ではじめに理解しておかなくてはならないのは

マネジメント活動を指す「エネルギーマネジメント」と
それをシステム化する「エネルギーマネジメントシステム」の違いです。

この2つを混同すると全体の理解が難しくなってしまいます。
この違いから理解しておきましょう。

「エネルギーマネジメント」とは?

エネルギーマネジメント」とは

「エネルギー消費をマネジメントすること」
すなわち「システム」ではなく「マネジメント活動」のことを指します

「施設内のどこでどれだけのエネルギーが使われているのか?」
「無駄なエネルギー消費がどこにあるのか?」
→それらを把握し改善していくマネジメント活動

それが「エネルギーマネジメント」です。

エネルギーマネジメントの概要

次章で詳しく説明しますが、図のような流れでエネルギーの消費を分析し、改善していくマネジメント活動です。

「エネルギーマネジメント”システム”」とは?

そして エネルギーマネジメントシステム とは、
施設内の使用電力を見える化してくれるシステム」または
見える化に加えて、使用電力を制御してくれるシステムや設備」のことです。

エネルギー消費状況の把握を自動化するシステム

エネルギーの消費状況を人の手で把握するのは非常に困難です。

エネルギーマネジメントシステム を用いることで利用状況をリアルタイムで自動収集し、
エネルギーマネジメント(マネジメント活動)を大きく助けることが出来ます。

エネルギーマネジメントシステムは
Energy Management Systemの頭文字から「 EMS 」とも呼ばれます。

両者の違いを簡単にいうと・・・

エネルギーマネジメント は「マネジメント活動」のこと。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)は「それを助けるシステム」や
「それが組み込まれた製品」のことを指す。

このように覚えておきましょう。

混同して「EMS」と呼ばれることも

国から発行される資料を含め、さまざまなサイトでも
「マネジメント活動」を指す「エネルギーマネジメント」も
EMS」と表記されていることがあります。

その「EMS」が「マネジメント活動」を指すのか?
「システムや製品」を指すのか?

他の資料でも、頭の中で分類しながら情報収集していくことが大切です。

エネルギーマネジメントの流れ

それではまず「マネジメント活動」を指す
エネルギーマネジメント」について理解して行きましょう。

上記のように、エネルギーマネジメント では、見える化から実施までをPDCAサイクルのようにまわしていきます。

各項目の概要

1.見える化

まずエネルギーの使用状況をわかりやすく
数値やグラフなどに置き換え「見える化」します。

2.分析

次に「見える化」したデータから、無駄や改善の余地が無いか分析します。

3.改善提案

分析結果から、改善策を検討します。

4.対策実施

検討した改善策を実施します。

実施結果をまた「見える化」

実施した結果を受けてまた1に戻り、見える化し分析していきます。

エネルギーマネジメント では、このように繰り返し改善活動を行っていきます。

先ず「どこに無駄があるか」を知ることが重要

なぜこのようなマネジメント活動が重要なのでしょうか?

例えば水を「ホース」に流したとき、
「どこかで水が漏れている」のに「どこから漏れているか分からない」と
水の無駄は防ぐ事ができません。

エネルギー消費も同様で「具体的な問題箇所」を「確かなデータで」取ることで
初めて問題箇所が明らかになります。

「まずどこに無駄があるのか?」正確な情報を知ることから、
改善を行い、また更にその改善結果を見える化して分析していくことが必要なのです。

エネルギーマネジメントが注目される背景

それではなぜ?
この「エネルギーマネジメント」が近年注目されているのでしょうか?
背景を見ていきましょう。

電気料金の大幅な値上がり

エネルギーマネジメント」という言葉が注目されるようになったきっかけは、東日本大震災です。
震災の影響で東京電力が被害を被ったことにより、電気料金が大幅に値上がりしました。


出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2019」

それにより、ビルや工場、オフィスなどエネルギーの消費量が多い業界は
削減対策を講じなければならなくなりました。

日本のエネルギー自給率は9.6%

さらに日本のエネルギー事情(2017年時点)を見てみると、
日本国内で産出・確保できる比率を示す「エネルギー自給率」は9.6%しかありません。


出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2019」

日本の化石燃料依存率は約87%

さらに全体の約87%が化石燃料(海外からの輸入)に依存しています。


出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2019」

限りあるエネルギーを効率よく使う必要がある

これらの現状から「限られた電気を効率よく使う」ために
エネルギーマネジメント」が注目されるようになりました。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)はなぜ必要?

エネルギーマネジメント(マネジメント活動)を行う重要性はご理解頂けたかと思います。
それでは エネルギーマネジメントシステム(EMS)はなぜ必要なのでしょうか?

特に重要なのが「見える化」

エネルギーマネジメント を行ううえで最も重要なのが「見える化」です。
ですがこれを人の手で行うのは非常に困難です。

エネルギーマネジメントシステムのメリット

1.エネルギー消費の把握を自動化できる

エネルギーマネジメントシステム(EMS)は自動的にデータを取得する為、
人の手をかける必要性がありません。

2.正確な情報を得ることが出来る

人の手で行う場合、ヒューマンエラーがどうしても起こってしまいます。
システムを用いることで、そうしたエラーも無く正確な情報を取得できます。

3.リアルタイムで情報収集できる

省エネにおいて「どの時間帯にエネルギーが多く使われているか?」の把握は重要です。
設備単体で見た際には無駄が少なく見えても、時間帯によっては無駄が出ていることがあるからです。

これも人の手で行う事のは困難ですので、システムを用いる必要があります。

EMSは省エネの土台

エネルギーマネジメントシステム(EMS)は、
他の省エネ機器のように、それそのものが省エネ効果を出すものではありません。

しかしながら、様々な機器を省エネに導いていく為の「土台」となるシステムとして
重要な役割を担っているのです。

EMSによる4つの省エネアプローチ

エネルギーマネジメントシステム(EMS)によって「見える化」したデータを分析し改善策を検討していく中で、考えられる方法が4つあります。

1.ダウンサイジング

EMSによって既存の設備よりも低容量の設備へ買い替えする必要性が見つかることがあります。
このことにより、コストダウンや設備のスリム化などが行えます。

2.チューニング

EMSによって見つかった改善点により
設備の運転時間設定や温度の調節などコストをかけずに省エネを実現することも可能です。
チューニングを行うだけでも、大幅にコストダウンできるケースもあります。

3.コミッショニング

現場の運用性能を分析して必要な調整や改修、運転の最適化を行うことで、性能を検証して実現することです。

4.ピークカット

ピークカット は最も取り組まれている、電気の基本料金を抑える方法です。

私たちの使用している電気の基本料金は、過去一年間で最も多く使った時間帯の買電量で決まります。
そこで「買電量が最も多くなる時間帯」の買電を抑えることで基本料金を抑えることができます。

これを「ピークカット」と言います。

ピークカット については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ピークカットとピークシフトとは?電気料金削減のからくり

ピークカットは、抑えられるコストも大きいため多くの企業が実践しています。

大手各社のEMS製品紹介

それでは エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入する場合、
どのような製品があるのでしょうか?

エネルギーマネジメントシステム(EMS) は、導入する設備によって呼び名が変わります。
製品によってはそれぞれ特化したものもありますので、理解しておきましょう。

エネルギーマネジメントシステムの種類

FEMS(Factory Energy Management System)

「フェムス」と読みます。
工場に対する EMS のことをこのように呼びます。

従来行われてきた受配電設備のエネルギー管理に加え、
工場における生産設備のエネルギー使用や稼働状況を把握することでエネルギーの動きの合理化や向上をはかり、
生産と連動した最適化を行うエネルギーマネジメントです。

BEMS(Building Energy Management System)

「ベムス」と読みます。
事業所やビル、店舗などの空調・照明などに行う エネルギーマネジメントシステム(EMS)です。

建物全体のエネルギーの動きを「見える化」することに加え、
建物の設備機器などを最適な形で制御することによる エネルギーマネジメント です。

HEMS

他にも家庭用の HEMS などもありますが、ここでは名前だけご紹介しておきます。

大手各社の EMS の製品紹介

それでは代表的な大手各社の製品の一例をご紹介します。
FEMSBEMS など、御社に合った製品はどのようなものがあるのか?確認してみましょう。

EMS全般

東京ガス:エネルギーマネジメントシステム

東芝三菱電機産業システム株式会社:エネルギーマネジメントシステム

FEMS(工場向けEMS)

アズビル株式会社:工場向けエネルギーマネジメントシステム

日立:FEMS(工場エネルギー管理システム)

BEMS(ビル/店舗向けEMS)

アズビル株式会社:BEMS(ビル向けEMS)

東芝インフラシステム株式会社:BEMS(ビル向けEMS)

EMS導入に活用できる補助金

エネルギーマネジメントシステム(EMS)導入には、大きなコストがかかります。
しかし市区町村によっては、導入に対する補助金が活用できる場合があります。

下記リンク先には、市区町村ごとに現在受けることが可能な
エネルギーマネジメントシステム 導入に関する補助金制度が紹介されています。

御社の地域で活用できる補助金が無いか?ぜひ一度確認してみてください。

環境ビジネスオンライン:エネルギーマネジメントシステム関連の補助金

2020年以降のエネルギーマネジメントシステム

最後に、今後の エネルギーマネジメントシステム にはどんな展望が考えられるのでしょうか?
見ていきましょう。

IoTやビッグデータとの連携が活発に

エネルギーマネジメントシステム(特に BEMSFEMS といった企業や工場関連)には
従来の目的に加えてIoTやビッグデータとの連携が期待されています。

製造設備や空調、照明機器には使用電力を共有したり、遠隔で制御できるようなIotの仕組みが入った製品が多く出始めています。

AIを活用したエネルギーマネジメントシステム

また、AIで外気温や天候などを元に使用電力をコントロールする EMS も開発されてきており、
今後はAIを活用した EMS も市場に多く見られるようになってくると考えられます。

IoTやビッグデータ、AIといった
数年前から注目されていたワードがいよいよ実装や普及が進み、EMSでの本格活用が今年から増えていくと予想されます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
エネルギーマネジメント について、工場や企業に注目したマネジメントの基礎知識や方法など
ご理解いただけたのではないかと思います。

「省エネの教科書」では、一般家庭や企業など幅広く活用できる省エネの情報を、随時お伝えしていきます。
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ー理解度確認テストー

それでは最後に、エネルギーマネジメントシステムについて簡単な確認テストを行ってみましょう。

次の記載のうち「間違っているもの」を選択してください。(複数選択)