※2025年1月17日:スマホで見やすく画像を更新しました。
近年、新たな太陽電池として注目されている「ペロブスカイト太陽電池」
みなさんもよく名前は目にされているのではないでしょうか?
そんな「ペロブスカイト太陽電池」について、
など、分かりやすく2025年1月現在の最新情報を解説していきます。
本記事を読んで頂ければ、ペロブスカイト太陽電池 について
ひととおり理解することができるかと思いますので、ぜひ情報収集にお役立てください。
目次
本編に入る前に、ペロブスカイト太陽電池 に関する注目のトピックをご紹介します。
経済産業省は2024年11月に、ペロブスカイト太陽電池の普及に関して「次世代太陽電池戦略」を公表しました。
国として「ペロブスカイト太陽電池の普及」と「価格見通し」を示したかたちになります。
このことからも、国としても本格的にペロブスカイト太陽電池の普及に力を入れていることが分かります。
(※この件について詳しくは、「日本政府の動き」の章で解説します。)
それでは本題に戻って、ペロブスカイト太陽電池 とはどのようなものなのでしょうか?
ペロブスカイト(perovskite)とは、灰チタン石(かいチタンせき)を意味しており、
その結晶構造を持つものを総称して
「ペロブスカイト」と呼びます。
ペロブスカイト太陽電池 は、
その「ペロブスカイトの結晶構造」を持つ化合物を用いられて作られる太陽光電池です。
2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授らが発明した日本発の技術で、従来の太陽光電池に比べ、「曲げられる」「軽い/薄い」「低コスト」などの特徴があり、いままで設置が困難だった場所にも活用ができるなど多くのメリットがあります。
また、主原料の「ヨウ素」は、日本が世界シェア第2位の生産量のため、他国に比べ資源の部分で優位性がある点も注目を集める理由のひとつです。
ペロブスカイト太陽電池は主に、
「曲げられる(さまざまな形状で使用できる)」「軽い/薄い」「低コスト」という特徴があります。
そうした特徴から、身の回りにあるさまざまなものに太陽電池を取り付けることができるため、
生活にも大きな変化をもたらすことが期待されています。
現在、太陽電池に関する世界中の論文の大半が ペロブスカイト太陽電池 に関するものになっているなど、世界中から注目を集めています。
それでは、ペロブスカイト太陽電池 の特徴を、まずそのメリットから見て行きます。
ペロブスカイト太陽電池 には、主に下記のような10個のメリットがあります。
順番に解説して行きます。
ペロブスカイト太陽電池 は、柔らかく曲がりやすい特徴と
塗布や印刷などで製造できるため、さまざまな形状の太陽光パネルにすることができます。
「フィルムのような材質の太陽電池」を思い浮かべて頂くと
イメージが湧きやすいかもしれません。
さまざまな形状に対応できるため、
これまで設置できなかった場所にも太陽光電池を取り付けることが可能になります。
また、ペロブスカイト太陽電池 は、従来の シリコン太陽電池 よりも
「軽く」「薄い」ことも大きなメリットのひとつです。
株式会社エネコートテクノロジーズ「ペロブスカイト太陽電池で目指すグリーンエネルギー社会の実現」の内容を元に作成
上の表のように、厚さは シリコン太陽電池(約30~40mm)と比較して
「約31μm(0.031mm)」と「約100分の1の厚さ」で、
重さも シリコン太陽電池(62.5 g/W)と比較して「2.5 g/W以下」と
「約25分の1の重さ」になっています。
「軽く薄い」という特徴と、前述の「さまざまな形状に適用できる」特徴から
太陽光発電をさまざまな場所で活用できるようになるのです。
例えば、工場や倉庫などの屋根に設置を検討する際に、いままでは耐荷重の問題で設置ができないケースがありました。
こうした課題を解決できる可能性があります。
当初は 変換効率 3%程度でしたが、現在は研究が進み、セルの発電効率の最高記録ベースではありますが、26.7%と、従来の結晶シリコン太陽電池に匹敵する 変換効率 が実現できています。
ペロブスカイト太陽電池 は、面積が大きくなると性能にばらつきが出るのですが、
今後も各社の開発が進むことで、性能向上が見込まれます。
経済産業省「次世代太陽電池戦略」の内容を元に作成
ペロブスカイト太陽電池 は、低コストなのも大きなメリットのひとつです。
ペロブスカイト太陽電池 の製造コストは、開発が進んで量産されるようになれば
シリコン太陽電池の「5分の1」から「3分の1」程度になると見込まれています。
低コストになるのは以下のような理由があります。
塗布や印刷技術で量産可能になるため、製造費用を抑えることができます。
前述のように、ペロブスカイト太陽電池 は非常に薄いので
従来の太陽電池と比較しても「約20分の1」の材料費しかかかりません。
ペロブスカイト太陽電池 の主な材料はヨウ化鉛やメチルアンモニウムなどで
従来の太陽電池のようにレアメタルを使用しないため、材料費を抑えられます。
ペロブスカイト太陽電池 は、従来の太陽電池よりも非常に軽いため、
輸送コストを抑えることができます。
また、架台などが必要ないため、設置コストも抑えることができます。
このように、変換効率 が高く、製造コストを抑えられることによって、
量産できれば従来の発電よりも「発電コスト」が抑えられることにもなります。
経済産業省が示した2040年の目標値は、発電コスト(政策経費を含まない)は15円/kWh台半ばと試算されています。
また、海外の需要を取り込むことができれば、発電コスト10円/kWh水準を見据えています。
参照元:経済産業省「次世代型太陽電池戦略」
一説では、ペロブスカイト太陽電池 は、量産ができて寿命が20年とすると
発電コストが「6~7円/kWh」になる見通しもでています。
参照元:一般社団法人 沖縄CO2削減推進協議会「次世代太陽電池 ペロブスカイト太陽電池について」
これを従来のさまざまな発電方法における発電コストと比較すると、下記のようになります。
上のグラフを見て頂くとお分かりの通り、ペロブスカイト太陽電池 の発電コストは、従来の太陽光発電や火力発電はもちろん、あらゆる発電方法の中でも「最も低コスト」にできる見通しも出ています。
ペロブスカイト太陽電池 は、弱い光でも発電できることも大きな特徴です。
従来の太陽光電池(結晶シリコン)と比較してみましょう。
参照元:一般社団法人 沖縄CO2削減推進協議会「次世代太陽電池 ペロブスカイト太陽電池について」を元に作成
従来の シリコン太陽電池 では、高照度(約10万ルクス)ほどの光が無ければ発電できませんでしたが、
図のように、ペロブスカイト太陽電池 では「1000ルクスや200ルクスといった低照度」でも発電できます。
そのため、朝夕や曇りや雨天などの天候や日照の悪い日や、室内のLED照明などでも発電できるため
屋内のIot機器の電源など、さまざまな活用シーンが期待されています。
さらに大きなメリットのひとつが「材料を日本国内で調達できる」という点です。
ペロブスカイト太陽電池 の主な原料である「ヨウ素」は、日本はチリに次ぐ世界2位の生産国で、世界の29%のシェアを持っています。
さらに推定埋蔵量では、日本のシェアは圧倒的1位で世界の78%のシェアを持っています。
参照元:産経新聞「世界シェア2割強の「ヨウ素」、高付加価値化に期待」
従来の太陽光電池は、レアメタル等を含んでいたため、材料を輸入に頼る面が大きかったのですが、国内で材料を調達可能になると、国際情勢や為替などの影響も受けにくく、安定した材料調達が可能になります。
エネルギー全体で見ても、燃料を輸入に頼っているのが現状で「エネルギー自給率を上げる」ことも、再エネ普及の大きな狙いのひとつです。
そうした意味でも、材料を国内で調達できる「ペロブスカイト太陽電池」は「エネルギーの安全保障」という面でも貢献が期待されています。
シリコン太陽電池 は、製造時の温度が「1400℃」と高温でしたが、
ペロブスカイト太陽電池 は、製造時の温度が「100℃」と低温で製造できるため、
製造時のCO2排出量を削減することができます。
ペロブスカイト太陽電池 は、光透過性があるので、ガラス窓にも使用できます。
ペロブスカイト太陽電池 は、材料などによって
「黒、赤、黄色、オレンジなど」に色を変えることができます。
壁などに使用する場合にも、ある程度デザインを調整できる点もメリットであると言えます。
このような特徴から、これまでは太陽光発電を設置することができなかった
「建物の窓や壁」「自動車」「ドローン」「衣類・鞄」などにも太陽電池を取り付けることができます。
いくつか例を見て行きましょう。
ペロブスカイト太陽電池 は、シリコン太陽電池 などの従来のソーラーパネルより薄く軽いため
従来のソーラーパネルでは重すぎて取り付けられなかったり、形状の問題で取り付けられなかった屋根にも取り付けることができます。
ペロブスカイト太陽電池 は、架台なども必要無くなるため
「窓や壁」に取り付けて発電することもできます。
ビルなどの建物に再エネを導入する場合、
従来の太陽光パネルでは、屋根に取り付ける方法しかありませんでした。
しかし高層ビルの場合には階数が多い分、敷地面積も広くなり、
その分消費エネルギーも大きくなります。
つまり高層ビルであるほど、ZEB などの省エネの実現は難しくなってしまうのですが
窓や壁で発電が可能になれば、この問題点を解消することができます。
電気自動車に取り付けることで、連続走行距離を伸ばすことにも貢献できる見通しです。
薄く軽いので、農業用ハウスでの活用も期待されています。
弱い光でも発電できるため、屋内で発電できる点も注目されています。
工場内や住宅内のIot機器の電源として活用することが期待されています。
また ペロブスカイト太陽電池 は、軽いのでドローンに載せることもできます。
ドローンの連続飛行時間を伸ばすことにより、
災害救助や輸送などにおけるドローンの活躍の幅が増えることが期待されています。
衣類や鞄で発電できれば、モバイル端末やICT機器などの活用の幅も増えることになります。
このように、身の回りにあるさまざまなものに太陽電池を取り付けることができれば、
生活にも大きな変化をもたらすことができるため
「ペロブスカイト太陽電池」は注目されています。
また、ペロブスカイト太陽電池 が普及すれば、
日本における再生可能エネルギーに関する下記のような課題の解決策になることも期待されています。
日本政府が新たに発表した第7次エネルギー基本計画の案では、2040年度に電源構成の22%~29%を太陽光発電で構成する方針ですが、
2023年度の実績は9.8%と、現状の2~3倍近くにしていく必要があります。
しかしながら、日本は島国で平地も少なく、太陽光用地が足りません。
実は、現状でも世界に置いて「国土面積における太陽光発電導入容量」も「平地面積における太陽光発電導入容量」主要国の中で1位です。
特に「平地面積における太陽光発電導入容量」においては、2位のドイツの2倍の量になっています。
参照元:資源エネルギー庁「2030年に向けたエネルギー政策の在り方」
このように、従来の太陽電池では、日本の太陽光用地には限度があり
これ以上太陽光発電を増やして行くのは難しい状況なのですが、
ペロブスカイト太陽電池 が普及すれば、建物の窓や壁などでも太陽光発電が可能になり
太陽光用地不足による再エネ導入の鈍化の解消策になるのです。
もうひとつの問題は「送配電のロス」です。
従来の太陽電池では、電気を使用する 需要地 に太陽光発電所を設置する場合、
屋根や、敷地内の空いた土地などでは発電量に限度があり、
なかなか使用する電気量すべてを賄うことはできません。
そこで、より再エネを活用するためには
需要地 以外の土地に太陽光発電所を設置して、そこから送電する
「オフサイトPPA」や「自己託送」といった手法が一般的です。
しかしながら、長い送電線を通る際のロスや電力変換を何度も繰り返すことで
約3分の1の電気が無駄になっています。
ペロブスカイト太陽電池 を活用すれば、窓や壁などにも太陽光発電を導入し、
需要地 での発電量を増やすことができますので
遠隔地からの送電によるロスを抑えることができるようになります。
また、ペロブスカイト太陽電池 は、単体としての活用だけでなく
「タンデム太陽電池」として活用できることからも注目されています。
タンデム太陽電池 とは、複数の異なる太陽電池を組み合わせた太陽電池で、
特に「変換効率 の向上」の効果が期待されています。
中でも特に注目されているのが、ペロブスカイトとシリコンの タンデム太陽電池 です。
シリコン太陽電池 は、理論上では「29%の 変換効率 が限界」と言われています。
しかしながら、ペロブスカイトとシリコンを組み合わせることで、図のように、ペロブスカイト層で波長の短い光を吸収し、シリコン層で波長の長い光を吸収することで、太陽光の光を無駄なく吸収し、30%以上の 変換効率 を実現することが可能になります。
タンデム太陽電池 は、掛け合わせる素材によって、変換効率や曲げ性が異なります。
下の表は、各太陽電池のセル面積1c㎡以上の 変換効率 と曲げ性をまとめたものです。
参照元:東京都市大学「世界初、変換効率が30%に迫る、曲げられる太陽電池を開発 ─ 新構造の薄型シリコン太陽電池にペロブスカイト太陽電池を積層 ─」を元に作成
表のように、ペロブスカイトとシリコンを合わせたタンデム太陽電池は
「33.7%」と非常に高い 変換効率 を出していますが、
その反面、ペロブスカイト太陽電池 の大きなメリットであった「曲げ性」は無くなっています。
しかし最近になって、東京都市大学が、変換効率 を高めながら、曲げ性も持たせることが出来る、ペロブスカイトと薄型シリコンのタンデム太陽電池を開発しています。
このように、ペロブスカイト太陽電池 は、単体だけでなく
「タンデム太陽電池」としての活用においても、開発・研究が進められており、
変換効率 の高い太陽電池として期待されています。
前述のように、日本では太陽光用地不足もあり、屋内や壁面などに使用できる従来のペロブスカイト太陽電池に対する期待が高まっています。
しかしながら、中国や欧州などにおいては、従来のシリコン型から、より高効率なタンデム型への切り替わりを見込んで、従来のペロブスカイト太陽電池よりも「タンデム型」の開発に力が注がれています。
世界を見ると、太陽光用地不足が日本ほど深刻ではないため、従来の太陽光用地に設置する太陽光発電の発電効率を上げる事の方が需要があると考えられているためです。
このように、大きな活躍が期待されている ペロブスカイト太陽電池 ですが、
実用化に向けて、課題となっている点(デメリット)もあります。
順番に解説していきます。
ペロブスカイト太陽電池 は、従来の太陽電池に比べて「寿命が短い」のもデメリットのひとつです。
シリコン太陽電池 の場合、耐用年数は約20年ですが、
ペロブスカイト太陽電池 は、開発当初は「5年」と短かったため、寿命の短さが大きな課題でした。
現在は研究・開発が進んでおり、
10年以上の耐用年数の ペロブスカイト太陽電池 も開発されています。
ペロブスカイト太陽電池 の寿命が短いのは、
「赤外線や紫外線に弱い」「湿気に弱い」という点が主な理由です。
ペロブスカイトは赤外線や紫外線によって、結晶が劣化しやすい特徴があります。
そのため、屋外で使用すると劣化しやすい点が大きな課題です。
ペロブスカイトには吸湿性があり、水分と反応すると劣化しやすく
変換効率 が下がり、寿命が短くなります。
そのため、ペロブスカイト太陽電池 を保護する「フィルムやガラスの層」の封止材の工夫や
研究開発が進められています。
2024年1月11日に発表されたニュースでは、
積水化学が2025年までに20年相当の耐久性を実現する方針を発表しています。
20年の耐久性が実現できれば、現在主流になっている シリコン型太陽電池 に匹敵する耐用年数
が実現できることになり、このデメリットが解消されることになります。
※2025年1月現在では、まだ新たな情報は発表されていませんが、今後も最新情報があれば、本記事でご紹介していきます。
参考:ニュースイッチ「ペロブスカイト太陽電池」耐久20年実現へ、積水化学が2025年事業化
ペロブスカイト太陽電池 の主な原料になる「ヨウ化鉛」や「ヨウ化メチル」は、
人体に対して下記のような有害性があり、安全性に問題がある点も課題です。
そのため、特に鉛に代わる原料で製造できないか、国内外の研究所での研究が進められています。
京都大学では鉛の代わりに「スズ」を、桐蔭横浜大学では「AgBi2I7」を
使用すべく研究と開発を進めています。
1㎝角などの面積の小さい太陽電池であれば、充分な発電量を出すことが可能ですが、
面積が広くなると性能にばらつきが出るため、面積の大きな ペロブスカイト太陽電池 の製造が課題でした。
ただし前述のように、近年では面積の大きい ペロブスカイト太陽電池 も実現され始めています。
このように、さまざまな形で注目されている ペロブスカイト太陽電池 ですが、
課題の面も踏まえて、実用化や市場流通に関してはどのような状況なのでしょうか?
世界で見ると、中国とポーランドではすでに販売を開始している企業もありますがまだ本格的な量産に向けて「動き始めている」という段階です。
国内の輸入販売業のモリベニは、中国スタートアップの極電光能(ウトモライト)と業務提携し、ガラス型ペロブスカイト太陽電池を2024年4月から試験販売を開始しています。
※参照元:ニュースイッチ「「ペロブスカイト太陽電池」の中国製品、販売企業が考える中国の現在と日本の勝算」
また、積水化学は2024年12月14日発表の記事において、2025年の事業化を明言しています。
「少量の商用化」から始め、街中への普及は「10年の期間」を要することも併せて発言されています。
参考:読売新聞オンライン「曲がる太陽電池 未来担う(積水化学工業 加藤敬太社長)」
このように国内外で量産体制を整える企業が増えており、ペロブスカイト太陽電池 が本格的に市場に出始めるのは「2025年ごろ」が最短になるのではと考えられています。
今年は、ペロブスカイト太陽電池 が市場に出て来るのかどうか、要注目の年になりそうです。
それでは、ペロブスカイト太陽電池 の開発の現状について、
国内のメーカー・研究機関の開発動向をより詳しく見て行きましょう。
まず、日本国内各メーカーの開発動向についてご紹介していきます。
積水化学は、主に「フィルム型」の ペロブスカイト太陽電池 の開発を進めており
10年の耐用年数を実現、実証実験も進めています。
また、前述のように最新のニュースでは
「2025年までに20年の耐用年数を実現する方針」であると発表しています。
特に最近では、ペロブスカイト太陽電池 を用いて
「世界で初めてのメガソーラー高層ビル」を創るニュースが注目されています。
前述のように、ペロブスカイト太陽電池 は、赤外線や紫外線、湿気に弱いという課題があります。
積水化学は、液晶向けの封止材などの技術を ペロブスカイト太陽電池 に応用して、
液体や気体が入り込まないように工夫した結果、10年の耐久性を実現させています。
また、積水化学の材料開発技術から、製造効率の高い「ロール・ツー・ロール方式」での
製造を実現しています。
また積水化学は、ペロブスカイト太陽電池 の実証実験も進めています。
2024年4月3日より1年間の予定で、浮体式(水上に設置する太陽光発電)ペロブスカイト太陽電池を閉校した学校のプールに設置し、実証実験を開始しました。
この取り組みは、積水化学工業株式会社/エム・エム ブリッジ株式会社/恒栄電設株式会社の3社共同で取り組みされています。
詳細:積水化学工業(株)「浮体式ペロブスカイト太陽電池の共同実証実験開始」
JR西日本うめきた駅の広場部分に、フォルム型 ペロブスカイト太陽電池 を設置。
日照や発電量を計測する実証実験も同時に行います。
詳細:積水化学「「うめきた(大阪)駅」にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置」
東京都下水道局森ヶ崎水再生センターにて、
フィルム型 ペロブスカイト太陽電池 の国内最大規模の検証を行っています。
詳細:東京都下水局「ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた検証を開始しました。」
東京都千代田区「内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業」で建設予定の
サウスタワーの壁面に ペロブスカイト太陽電池 を設置し、
「世界で初めてのメガソーラー高層ビル」となる導入が発表されています。
詳細:積水化学「世界初 フィルム型ペロブスカイト太陽電池による高層ビルでのメガソーラー発電の計画について」
ペロブスカイト太陽電池の軽量性を活かした架台構成や施工性の検証を目的とした実証を株式会社TERRAと共に開始しました。
フィルム型ペロブスカイト太陽電池を営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)に設置するための国内で初めての共同実証実験です。
詳細:積水化学「国内初、営農型ペロブスカイト太陽電池の共同実証実験開始」
東芝は、曲げ性を維持したフィルム型で
世界最高効率の 変換効率「15.1%(703c㎡)」を実現しています。
東芝の開発する ペロブスカイト太陽電池 は「フィルム型」というだけでなく
「大面積(703c㎡)」で、変換効率 の向上を実現しています。
従来の大面積のフィルム型の ペロブスカイト太陽電池 は、
2ステップという塗布方法で作られますが、この塗布方法では時間がかかり
ペロブスカイト層に未反応部分が生じて、変換効率 が下がってしまいます。
東芝では「1ステップメニスカス塗布法」という塗布方法を開発し、
1ステップで塗布できるようになったことから、変換効率 を向上させることができています。
この「1ステップメニスカス塗布法」は、塗布速度も高速化できることから
より効率的に量産できることが期待でき、量産やコスト面でも期待されています。
学校法人桐蔭学園、東急株式会社、東急電鉄株式会社、横浜市の4者が行う
東急田園都市線・青葉台駅正面口改札前自由通路での ペロブスカイト太陽電池 の実証実験において
東芝が ペロブスカイト太陽電池 を提供しています。
参照:東芝「大面積フィルム型ペロブスカイト太陽電池の提供について」
アイシンの ペロブスカイト太陽電池 は、酸素や水を通しにくい「薄型ガラス」を採用し
10年相当まで耐久性を向上させています。変換効率 は、13.08%(30cm角)です。
アイシンは、2025年から自社工場での実証実験を開始すると発表しています。
エネコートテクノロジーズは、京都大学から生まれた、
ペロブスカイト太陽電池 の開発事業を行うスタートアップ企業です。
フィルム型では、7.5cm角で「16.9%」
ガラス型では、7.5cm角で「19.2%」の 変換効率 を実現しています。
エネコートテクノロジーズは、さまざまな場所での ペロブスカイト太陽電池
の実証実験や共同開発を行うことを発表しています。
KDDIの基地局に、ペロブスカイト太陽電池 を活用した実証実験を
2024年から開始すると発表しています。
参照:KDDI「国内初、曲がる太陽電池「ペロブスカイト型」を活用した基地局実証を開始」
同じく2024年から、苫小牧埠頭の物流倉庫において実証実験を行うと発表しています。
通常の実証実験に加えて「塩害や降雪への耐久性」も検証するとのことです。
参照:「国内初、物流施設に「ペロブスカイト太陽電池」を設置する実証実験の開始を決定」
三井不動産と京都大学と、住宅用ペロブスカイト太陽電池の共同開発を開始したと発表されています。
また、車載用ペロブスカイト太陽電池の共同開発をトヨタと開始しています。
参照:日本経済新聞「次世代太陽電池、30年EV搭載へ トヨタ・京大発新興組む」
パナソニックは、ペロブスカイト太陽電池 事業に2026年までに参入すると発表しています。
パナソニックの ペロブスカイト太陽電池 は、800c㎡以上の実用サイズでの 変換効率が「17.9%」で
7月に中国の極電光能の「18.6%」に抜かれるまで、世界1位でした。
パナソニックの ペロブスカイト太陽電池 は、特に住宅建材と組み合わせた
「発電するガラス」としての用途を中心に、事業を進めています。
パナソニックは、2028年までにとしていた従来計画を2年前倒し、
2026年に「ペロブスカイト太陽電池」事業に参入する方針を示しています。
窓、壁等と一体となった太陽光発電の導入に向けた補助金の募集も本年度から開始されています。
(詳細は、補助金の項で詳しく解説します)
カネカは、2022年にフィルム型 ペロブスカイト太陽電池(10cm角)で20%近い 変換効率 を実現し
話題になりました。
「建材一体型」や「窓・壁面設置型」を視野に、2026年からの実証を目指しています。
富士フィルムは、ペロブスカイト太陽電池 そのものを開発しているわけではありませんが
その素材研究に力を入れている企業です。
後述する「世界各国における特許出願」においても、存在感を示しています。
同様に、大学や研究機関の開発動向を見て行きましょう。
ペロブスカイト太陽電池 は、2009年の発明当初はそこまで注目されておらず、
研究者も数名でしたが、現在では世界の研究者数は3万人以上とも言われています。
(中国人約1.5万人、日本人1,000人)
参照元:一般社団法人 沖縄CO2削減推進協議会「次世代太陽電池 ペロブスカイト太陽電池について」
前述のように、桐蔭横浜大学は ペロブスカイト太陽電池 を開発した宮坂教授が在籍する大学です。
ペロブスカイト太陽電池 は研究者の手作業で開発されていたため、
ひとつひとつの性能が不安定でした。
桐蔭横浜大学は、ベンチャー企業「ペクセル・テクノロジーズ」を立ち上げ、
ペロブスカイト太陽電池 の成膜技術を安定させる自動化技術を開発しています。
また、人体に有害な鉛に代わる素材として、AgBi2I7に注目しています。
京都大学は前述のように、スタートアップ企業のエネコートテクノロジーズを立ち上げています。
また、2024年12月23日に国際学術誌「Nature」にオンライン掲載されたオックスフォード大との共同研究では、
スズを含むペロブスカイト太陽電池の「タンデム型」で、2層重ねた時で発電効率が最大で29.7%に到達したことを発表しました。
また、接合数が4以上のオールペロブスカイトタンデム型太陽電池の作製が可能であることを初めて実証しました。
参照元:京都大学「スズを含むペロブスカイト半導体の界面構造制御法の開発とメカニズム解明〜高性能多接合(タンデム)型太陽電池の実現〜」
ペロブスカイト太陽電池 を光通信に応用する研究を行っています。
光通信の給電用に ペロブスカイト太陽電池 を活用しています。
「シングルソース蒸着」という新たな成膜プロセスも検討しています。
「逆構造の ペロブスカイト太陽電池」を開発しています。
「逆構造の ペロブスカイト太陽電池」とは、
従来の ペロブスカイト太陽電池 の層の構造が逆のようになっているもので、
従来よりも安定性が高い特徴があります。
ペロブスカイト太陽電池 の「高性能電子輸送層」を開発し、変換効率 30%を可能にしています。
ペロブスカイト太陽電池 の劣化機構を解明しています。
円筒型の ペロブスカイト太陽電池 モジュールを開発。
鉛に代わるスズ系素材の ペロブスカイト太陽電池 として、世界最高の13.2%の 変換効率 を実現しています。
5cm角の ペロブスカイト太陽電池 で16.6%の 変換効率 を達成しており
今後は大型化や商業化を目指しています。
宇宙用の ペロブスカイト太陽電池 を開発しています。
続いて、主要中国メーカーの動向をみていきましょう。
近年まで、中国企業のペロブスカイト太陽電池の開発動向は不透明でしたが、量産に向けた発表などを通じて、最近は動向が少し見え始めています。
三井物産戦略研究所 「ペロブスカイト太陽電池のGW級量産に進む中国 ―タンデム型で変換効率30%突破を目指す― 」の内容を元に作成
日本国内ではフィルム型が多かったが、中国企業ではガラスやタンデム型が大半を占めています。
従来の太陽光で市場を確保しているためフィルム型よりタンデシリコン型ム・ガラス型の方が市場展開しやすいことも理由のひとつです。
図でもご紹介した通り、中国はすでに量産化が稼働を開始し、大規模な建設も進み始めています。
続いて、中国以外の海外の動向も見て行きましょう。
ポーランドのサウレ・テクノロジーは、日本のHISが出資する企業で
2021年に世界で初めて ペロブスカイト太陽電池 の商業生産を開始。
5,000c㎡規模の工場で、当初はIot端末向けの製品の量産化を進めています。
コロナ禍の影響で量産開始は遅れていますが、2023年内に、少量から商用化を開始すると発表しています。
変換効率 は、15.74c㎡(フィルム型)で「10.5%」です。
イギリスのオックスフォードPVは、主にシリコン型とのタンデム型太陽電池を開発。
2024年9月には、ペロブスカイトタンデムソーラーパネルの世界初の商業展開を開始し、
最近のモジュール効率記録は26.9%と発表しています。
続いて、海外の大学・研究機関の開発動向も見て行きましょう。
高効率な タンデム太陽電池 を開発。
スズ系の素材を使用し、変換効率 9.1%で、高い耐久性を維持しています。
ペロブスカイト太陽電池 と シリコン太陽電池 との タンデム太陽電池 で
変換効率 30%以上を目指しています。
ペロブスカイト太陽電池 ベースの タンデム太陽電池 を開発しています。
ペロブスカイト太陽電池 と シリコン太陽電池 との タンデム太陽電池 を開発しています。
材料科学に関する研究を行っています。
タンデム型の高耐久化を実現しています。
ペロブスカイト太陽電池 と シリコン太陽電池 との タンデム太陽電池 で
変換効率 26%以上を実現しています。
グアニジウムイオンを添加し、変換効率 19%前後を実現。
ペロブスカイト太陽電池 と シリコン太陽電池 との タンデム太陽電池 で
変換効率 28.7%を実現しています。
ペロブスカイト太陽電池 と CIGS太陽電池 との タンデム太陽電池 で
変換効率 24.6%を達成しています。
ペロブスカイト太陽電池 の新規正孔輸送材料を開発しています。
ペロブスカイト太陽電池 の長寿命化を研究しています。
タンデム太陽電池 を開発しています。
ペロブスカイト太陽電池 を活用した タンデム太陽電池 を開発。
変換効率27.7%を実現しています。
CsFAPbI3を素材として活用した ペロブスカイト太陽電池 で、変換効率 16.6%を達成しています。
高耐久性の ペロブスカイト太陽電池 を開発しています。
南京大学が率いる国際研究チームは、変換効率28.2%の1.05cm2全ペロブスカイトタンデム太陽電池を製造しました。
この技術は、新興企業、Renshine Solar社によって開発される予定です。
ユウロピウムイオンを添加した ペロブスカイト太陽電池 で、変換効率 20.14%を達成しています。
ペロブスカイト太陽電池 の大面積技術を開発しています。
ペロブスカイト太陽電池 と シリコン太陽電池 との タンデム太陽電池 で
変換効率 30%以上を目指しています。
FAPbI3を使用した薄膜 ペロブスカイト太陽電池 で、照明下で25.8%を達成しています。
36.6c㎡で、変換効率 16.06%を達成しています。
薄膜で耐久性の高い ペロブスカイト太陽電池 を開発しています。
ペロブスカイト太陽電池 の タンデム太陽電池 で 変換効率 23.8%を達成しています。
また、各国の ペロブスカイト太陽電池 の販売に向けた動向は、特許の出願件数からも見ることが出来ます。
各国、各メーカーがどのような動きをしているのか見て行きましょう。
まず初めに、国ごとの出願件数を見て行きましょう。
(正確には「出願した個人や団体の国籍」別の出願件数になります。)
参照元:特許庁「ニーズ即応型の技術動向調査 テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」」を元に作成
グラフを見て頂くとお分かりの通り、出願件数のトップは中国で、全体の37%を占めています。
続く2位が日本で、全体の21.3%を占めています。
中国の出願件数は、2015年以降に急激に増加しています。
反対に、日本は2015年まで増加したのち、減少しており、順位が逆転しています。
次に、出願人別の特許出願数のランキングを見て行きましょう。
さまざまな国に出願している出願数の合計値のランキングです。
参照元:特許庁「ニーズ即応型の技術動向調査 テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」」を元に作成
このように、出願人別で見てみると、日本の積水化学が1位、富士フィルムが2位、
8位にパナソニックと、
国別では中国がシェアを占めていましたが、出願人別では、日本企業が多く上位にランクインしています。
続いて「出願先の国別」に、どの国籍からの出願が多いか、見て行きましょう。
このランキングを見て行くと、各企業の国際展開の戦略も見えてきます。
参照元:特許庁「ニーズ即応型の技術動向調査 テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」」を元に作成
日本と中国への出願は、どちらも自国からの出願が上位を占めていることが分かります。
参照元:特許庁「ニーズ即応型の技術動向調査 テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」」を元に作成
米国と欧州は、日本や中国と異なり、自国からの出願だけでなく
他の国からの出願も上位に入って来ており、日本の企業も多く参入していることが分かります。
また、同じ日本企業でも、米国と欧州どちらに力を入れているのかの違いが見えます。
参照元:特許庁「ニーズ即応型の技術動向調査 テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」」を元に作成
韓国は、日本や中国のように自国籍からの出願のシェアが多くなっています。
台湾は、自国よりも、他の国からの出願のシェアが多くなっています。
台湾のランキングの中にも、日本企業の名前が複数出ています。
参照元:特許庁「ニーズ即応型の技術動向調査 テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」」を元に作成
オーストラリアとインドに関しても、自国以外の国からの出願の方が多い傾向があります。
また、日本企業の名前も目立ちます。
このように、各国への出願の状況を見て行くと、販売に向けたさまざまな動向が見えてきます。
日本企業の動向としては、日本国内だけでなく、さまざまな国で出願している点が大きな特徴です。
また、企業によって出願に力を入れている国が異なることも分かります。
例えば、富士フィルムは米国や欧米、
積水化学は台湾やオーストラリア、インドで多く出願していることから
販売戦略の違いも見えてきます。
最も出願件数が多い中国ですが、自国以外のランキングには、あまり名前が出てきていません。
次に、出願内容の分類ごとに出願件数を見て行きましょう。
各国で、ペロブスカイト太陽電池 のどの部門に力を入れているかが見えてきます。
まず「安定性・耐久性」と「高効率」をそれぞれ見て行きましょう。
参照元:特許庁「ニーズ即応型の技術動向調査 テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」」を元に作成
「安定性・耐久性」に関する出願件数は、日本国籍の出願人による件数が最も多いのですが
2位の中国とは僅差です。
「高効率」に関しては、中国の件数が圧倒的に多くなっています。
参照元:特許庁「ニーズ即応型の技術動向調査 テーマ名:「ペロブスカイト太陽電池」」を元に作成
「大面積化」と「低コスト」に関しては、中国が最も多く、欧州が続いています。
このように、ペロブスカイト太陽電池 は、日本で発明されたにもかかわらず
世界では大きく動き始め、中国などを中心に大量生産への動きもあります。
国内メーカーと海外メーカーのどちらが ペロブスカイト太陽電池 の市場を勝ち取るのか
動向が注目されています。
中国では、国内特許を取得する競争も激化しており、
すでに量産に向けて動き始めています。
一方、日本国内のメーカーは、実証実験を始めている段階で、
量産化は、進んでいませんでした。
しかし、海外の動向を受け日本政府の後押しもあり、
量産化に向けた動きが出てきています。
ペロブスカイト太陽電池 の市場を日本が勝ち取れるのか?
海外メーカーにシェアを奪われてしまうのか?
という面においても、ペロブスカイト太陽電池 の動向は注目されています。
このような世界情勢を受けて、
日本政府も ペロブスカイト太陽電池 の開発支援に力を入れ始めています。
冒頭でも少し触れましたが、経済産業省は2024年11月に次世代型太陽電池戦略を発表し、
ペロブスカイト太陽電池に力を入れることを改めて明確にしています。
ここからは、以下資料を抜粋しながら、
日本政府の方針を解説していきます。
出典:経済産業省「次世代型太陽電池戦略」
図からもわかる通り、2040年に10~14円/kWhの価格水準を目指しており、
補助金等を必要としない、自立化水準を目指しています。
このためには、海外需要に対応することが必須となり、
10円という水準は、注意書きにも書いてありますが研究開発の進展が必要となります。
早期にGW級の大規模な生産体制を構築するために、投資支援を行っていく予定です。
積水化学は、ペロブスカイト太陽電池を発電容量で年約100万キロワット分の生産能力の新工場を、
2030年までの稼働を目指し、約3200億円で建設予定です。
この約5割にあたる約1600億円を補助すると発表されています。
ペロブスカイト太陽電池 は、2035年には世界で1兆円市場になると見通されています。
参照:株式会社富士経済「ペロブスカイト太陽電池の世界市場は2035年に1兆円」
海外メーカーの ペロブスカイト太陽電池 の開発も進んでおり
日本政府も ペロブスカイト太陽電池 のシェアを獲得すべく力を入れ始めています。
こうした背景から、日本政府は ペロブスカイト太陽電池 の開発に向け、
令和6年度から、さまざまな補助金制度を行っています。
ペロブスカイト太陽電池 の世界における競争力を付けるための支援として、
資源エネルギー庁は、GXサプライチェーン構築支援事業を行っています。
以下資料の45ページを元に解説していきます。
引用元:経済産業省「GXサプライチェーン構築支援事業」
ペロブスカイト太陽電池 などの関連部素材や製造設備への投資などへ、
対象経費の「1/3~1/2」の補助を行う制度です。
こちらの補助は、ペロブスカイト太陽電池の設置などではなく、製造に関する補助となります。
予算額は4,212億円と大規模な補助となります。
補助金の目的として、
と明言しており「世界における日本企業の ペロブスカイト太陽電池 の競争力強化」に向けて、日本政府が力を入れ始めていることが分かります。
令和7年の募集はまだ出ていませんが、
令和6年の終了した募集要項を参考に確認していきましょう。
421,200,000,000円
上記は、令和10年度までの国庫債務負担含む金額になります。
原則 大企業 1/3以内 中小企業等 1/2以内
令和6年9月17日~令和11年3月31日
製品
1)ペロブスカイト太陽電池
・完成品(ペロブスカイト結晶構造の発電層を有するフィルム型の太陽電池)
・レーザー加工装置
2)浮体式等洋上風力発電設備
・ブレード※、タワー、ナセル、係留索・係留チェーン、アンカー、浮体基礎
※補助対象には、製品の原料、中間材を含む。
製品の生産に係る設備投資等を行う事業であることが条件となります。
完成品以外の製品については、最新の完成品へ採用されることが見込まれるものに限るとされています。
【公募開始】 令和6年9月17日(火)
【公募締切】 令和6年10月31日(木)正午まで
上記期間で終了していますので、
令和7年度の参考にしてください。
詳細は以下からご確認ください。
引用元:経済産業省「GXサプライチェーン構築支援事業」
2024年3月7日のニュースでは、経済産業省は ペロブスカイト太陽電池 を2025年の FIT において通常の太陽光発電よりも優遇された買取価格(10円以上)にする見通しであると報道されています。
このように、国も ペロブスカイト太陽電池 の普及に向けて大きくバックアップしていく方針であることが見えています。
参考:日本経済新聞「曲がる太陽電池、電力買い取り優遇 経産省」
いかがでしたでしょうか?
ペロブスカイト太陽電池 の基礎知識から
世界における開発や商品化の現状や、国内メーカーの取り組み、
政府の支援や補助金など、ペロブスカイト太陽電池 の現状について
ひととおりご理解頂けたのではないかと思います。
ペロブスカイト太陽電池 は、
現在でも太陽電池や再エネの中でも注目が集まり始めています。
今後も、何か新しい情報が入りましたら、本記事を更新してお伝えして参ります。
本記事がみなさまの情報収集のお役に立ちましたら幸いです。