省エネの教科書とは

【図解】オフサイトPPAとは?オンサイトPPA・自己託送との違い

※2023年5月10日:最新情報に更新しました。

電気料金の値上がりやCO2削減への効果的な手法のひとつとして
オフサイトPPA」が注目されています。

しかしながら、オフサイトPPA とは具体的にどのようなものなのか
詳しくはご存知ない方も多いのではないでしょうか?

この記事では

オフサイトPPA とは?」
「メリット・デメリット」
オンサイトPPA自己託送 とどう違うのか?」
オフサイトPPA の電気料金」
オフサイトPPA に活用できる補助金」
オフサイトPPA の導入事例」

といった内容で、オフサイトPPA に関する基礎知識を「図解」で分かりやすく解説していきます。

本記事が、御社の再エネ導入のお役に立てれば幸いです。

※「蛍光マーカーが引いてある専門用語」にカーソルを合わせれば解説が表示されます。
省エネにあまり詳しくない方にも分かりやすい記事をお届けするため、
あらゆる専門用語に解説を付けています。どうぞお役立てください。



オフサイトPPAとは?

それではまず最初に、オフサイトPPA はどのようなものなのか、解説していきます。

オフサイトPPA は、図のように

1. 需要家 の「敷地外」に「第三者所有」の発電所を設置する。
2.発電した電気を、小売電気事業者 を介して送電。
3.発電した電気を、需要家 が購入して使う。

という流れで行われる 自家消費型太陽光発電 のモデルのひとつです。
ひとつひとつ順番に解説して行きます。

1. 需要家 の「敷地外」に「第三者所有」の発電所を設置する。

需要家」とは、この場合「電気を使用する者」のことを言います。
もし御社が オフサイトPPA で発電した電気を使用する場合には、御社は「需要家」になります。

 
 
 
まず、需要家 の「敷地外」に、その 需要家 ではない「第三者」が所有する発電所を設置します。

電気を使用する者とは別の者が、電気を使用する場所以外の場所に、太陽光発電所を設置するのです。


オフサイトPPA などの コーポレートPPA では、
この発電所を導入する「需要家 以外の第三者」のことを、PPA事業者 と呼びます。

2.発電した電気を、小売電気事業者 を介して送電。

 
 
 
PPA事業者 の発電所で発電した電気は、小売電気事業者 を介して、需要家 に送電されます。

小売電気事業者」とは、東京電力や中部電力のような大手電力会社や、新電力 の企業をイメージして頂ければ分かりやすいかと思います。


[なぜ小売電気事業者を介する必要があるのか?]
 
オフサイトPPA の場合には「発電所の持ち主」と「需要家」は「他者同士」になります。
 
日本の電気事業法では、他者同士で「電気の売買」を行うためには「小売電気事業者」である必要があると定められており、他者同士では直接電気の売買を行うことはできません。
 
そのため、一度「小売電気事業者」が間に入ることで、他者同士の「間接的な電気の売買」を可能にしているのです。

3.発電した電気を、需要家 が購入して使う。

 
 
 

そして、小売電気事業者 を介して送電された電気を 需要家が「購入」し使用します。

この際の電気料金の支払いも、小売電気事業者 を介して支払われます。


 
 
つまり、オフサイトPPA とは、
電気を使う場所以外の場所に設置した、第三者の太陽光発電所から
小売電気事業者 を介して電気を購入する、自家消費型太陽光発電 のモデルです。

オフサイトPPAの主な特徴

詳細は後述する「メリット・デメリット」の項で解説いたしますが、
オフサイトPPA には、主に下記のような特徴があります。

・導入費用やメンテナンス費用がかからない
・発電量が大きく、大規模な再エネ導入(CO2削減)が可能
・ただし、契約ハードルが高い

コーポレートPPA

この オフサイトPPA のように、第三者の太陽光発電所 で発電した電気を
需要家が購入して使用する 自家消費型太陽光発電 のモデルをコーポレートPPAと呼びます。

PPAは「電力購入契約(Power Purchase Agreement)」の略です。
「電力購入契約」と意味を混同しないためにも「コーポレートPPA」や「PPAモデル」と呼ばれています。

コーポレートPPA には、オフサイトPPA 以外にもオンサイトPPAがあります。
オンサイトPPA については、後半に オフサイトPPA との比較も交えてご紹介していきます。

オフサイトPPAの6つのメリット

続いて、オフサイトPPA のメリット・デメリットから特徴を見て行きましょう。

オフサイトPPA には、下記のようなメリットがあります。

1.導入費用やメンテナンス費用がかからない
2.大規模な再エネ導入、CO2削減が可能
3.敷地内に発電所を設置できない企業も再エネを導入できる
4.電気料金の価格変動リスクに対応できる
5.複数の事業所に送電できる
6.追加性がある

順番に解説して行きます。

1.導入費用やメンテナンス費用がかからない

オフサイトPPA の場合には、太陽光発電所の持ち主は「PPA事業者」であり、
電気を使用する「需要家」ではありません。

そのため、太陽光発電所の「導入費用」や「メンテナンス費用」は、PPA事業者 が負担します。
(ただし、月々支払う電気料金の中には、この「導入費用」や「メンテナンス費用」も含まれています)

高額な初期導入費用を避けることができる

オフサイトPPA の太陽光発電所は、基本的に規模が大きくなる傾向があります。
規模が大きくなる分、本来であれば導入費用も高額になってしまうのですが
その初期投資が必要無い点が、オフサイトPPA の大きなメリットのひとつと言えます。

2.大規模な再エネ導入、CO2削減が可能

大規模な太陽光発電所を導入できる

従来の 自家消費型太陽光発電 は、屋根など、需要家 の敷地内に設置するのが一般的です。
しかしながら、需要家 の敷地内の場合には、太陽光発電所を設置する広さに限りがあります。

オフサイトPPA の場合には、需要家 の敷地外に発電所を設置するため、
広い土地を用意して、大規模な発電所を導入することが可能になります。

大規模なCO2削減に繋がる

大規模な太陽光発電所を導入し、再エネを導入できるため
「大規模なCO2削減」が可能で、場合によっては「再エネ100%」なども実現可能になります。

3.敷地内に発電所を設置できない企業も再エネを導入できる

需要家 の敷地内に太陽光発電システムを導入する場合、
敷地内の状況によっては、下記のような理由で導入が困難な場合があります。

・敷地内に充分な場所を確保できない
・屋根の形状や強度の問題で設置できない
・塩害地域(海の近くなど)で設置できない

しかしながら、オフサイトPPA であれば、需要家 の「敷地外」に設置するため
上記のような理由で敷地内に設置できない 需要家 でも導入することができます。

4.電気料金の価格変動リスクに対応できる

オフサイトPPA で購入する電気料金の単価は、変動しない固定単価であることが一般的です。

2023年現在、電気料金の値上がりが社会問題になっていますが
オフサイトPPA の電気料金は、電力市場の価格変動の影響は受けないため、
「価格変動リスクに対応できる」というメリットがあります。

オフサイトPPA の電気料金についての詳細は、後半に解説します。

5.複数の事業所に送電できる

 
オフサイトPPA では、発電所から複数の事業所に送電することができます。

複数の事業所やグループ企業で、まとめて再エネ導入することができるのも、オフサイトPPA の大きなメリットのひとつです。


6.追加性がある

「追加性」とは?

再エネにおける「追加性」とは「再生可能エネルギーを新たに生み出すこと」を言います。

オフサイトPPAには「追加性」がある

例えば、再エネ100%の電力契約に切り替えた場合には、元からある再エネを活用し始めたことになりますので、新たに再エネを世の中に生み出したことにはならず、追加性があるとは言えません。

オフサイトPPA で太陽光発電所を新たに設置する場合には「追加性がある」と言えます。

なぜ追加性が大事なのか

追加性」は「RE100」で重要視されており、
追加性のない再エネ導入は再エネ導入として認められないこともあります。

オフサイトPPA を導入する企業は特に、CO2削減に対して高い目標を掲げる企業や
RE100 加盟企業が多い傾向があるため、この追加性」の有無は重要な指標になります。

再エネ電力は新設か運転開始15年以内が対象に
 
RE100 は、2022年10月24日の発表で
追加性」をより重視するために、RE100 の新しい再エネ電力の要件として
2024年1月から「新設か運転開始15年以内」を条件とすることを新たに決定しました。
この要件を満たさない電力は、RE100 が定める再エネ導入にあたらないことになります。
参考:自然エネルギー財団「自然エネルギーの電力は新設か運転開始15年以内に」
 
このようにRE100 の「追加性」の重要性は、近年になってより高まっています。

オフサイトPPAの4つのデメリット

大きなメリットの多い オフサイトPPA ですが、デメリットもあります。

1.15〜20年の長期契約を結ぶ必要がある
2.契約ハードルが高い
3.電気料金は他の自家消費の中では割高
4.非常用電源としての活用は難しい

順番に解説して行きます。

1.15〜20年の長期契約を結ぶ必要がある

オフサイトPPA のひとつめのデメリットは「15〜20年の長期契約を結ぶ必要がある」点です。
PPA事業者は、発電所の導入費用やメンテナンス費用を負担する代わりに
その費用を月々の電気料金から回収する必要がありますので、長期契約になるのが一般的です。

需要家 はそれだけの期間、自分たちの事業を維持していくことが必要になります。

契約期間中の解約時には、違約金などが発生する可能性もありますので
事前に契約内容を確認しておく必要があります。

2.契約ハードルが高い

オフサイトPPA の大きなデメリットのひとつが「契約ハードルが高い」という点です。

PPA事業者にとっては「リスクが高い」

オフサイトPPA を導入する場合、発電所の規模が大きくなればその分、PPA事業者 の導入費用も大きくなります。

さらに、オフサイトPPA の契約期間は15年~20年と長くなるため、
PPA事業者 の視点から見ると、膨大な導入費用を電気料金の中から長期間かけて回収していくことになります。

そのため「途中で倒産する」可能性がある企業との契約は避ける必要があるため
「長期間安定した経営を続けられる企業」と契約したいわけです。

オフサイトPPAを導入しているのは大手企業が中心

こうした背景から、オフサイトPPA を導入している企業は、日本国内では大手企業が中心になっています。

日本国内ではオンサイトPPAの方が主流

また、オフサイトPPA はまだまだ日本国内では導入事例が少なく、
まだ契約ハードルが オフサイトPPA よりは低い、オンサイトPPA の方が主流になっています。

3.電気料金は他の自家消費の中では割高

オンサイトPPA など、他の 自家消費型太陽光発電 モデルと比較すると、電気料金は割高になります。
※電気料金については、後ほど詳しく解説します。

再エネ賦課金がかかる

オフサイトPPA の電気料金の大きな特徴のひとつが再エネ賦課金 がかかる」という点です。

「オフサイトPPAにはなぜ再エネ賦課金がかかる?」

 
他の 自家消費型太陽光発電 では、再エネで創った電気を使用しているため、
再エネ賦課金 がかかりません。
 
しかし、オフサイトPPA も同じように再エネで創った電気であるにもかかわらず、
再エネ賦課金 がかかります。
 
再エネ特措法では「小売電気事業者 から 需要家 に供給された電気」に対して、
再エネ賦課金 を徴収するように規定されています。
 
オフサイトPPA は、再エネで創った電気ではあるのですが、送配電の際に 小売電気事業者 を介する必要があるため、再エネ賦課金 を支払う必要があるのです。

4.非常用電源としての活用は難しい

自家消費型太陽光発電 は「非常用電源としての活用」も視野に入れる事が多いかと思いますが
オフサイトPPA「非常用電源としての活用は難しい」点がデメリットです。

オフサイトPPA は、遠隔地から 小売電気事業者 の送配電網を使って送電するため
自然災害などで送配電網が途絶した場合には、非常用電源としての活用はできないことが理由です。

オフサイトPPAの電気料金

メリット・デメリットを通じて、オフサイトPPA の特徴をご理解頂いたうえで
次はオフサイトPPA の電気料金」について、解説して行きます。

オフサイトPPAの電気料金単価

オフサイトPPA の電気料金単価は、下記のような相場になっています。

高圧:18.50円/kWh~21.50円/kWh
特別高圧:16.50円/kWh~19.50円/kWh

(再エネ賦課金3.36円を含む)

出典:自然エネルギー財団「コーポレートPPA日本の最新動向(2022年8月)」

一般の電気料金との比較

この オフサイトPPA の電気料金単価を、一般の電気料金と比較して行きます。

「高圧」の一般の電気料金との比較

高圧における、一般の電気料金単価の推移と オフサイトPPA の電気料金単価を比較します。

※一般電気料金単価:一般社団法人エネルギ―情報センター「新電力ネット」を元に、再エネ賦課金を加えたもの。

グラフのように、高圧の電気料金単価の推移と オフサイトPPA の単価を比較すると、

オフサイトPPA(高圧)の電気料金単価は、
電気料金高騰時には電気料金削減になるが、通常時には割高になる

ことが分かります。

「特別高圧」の一般の電気料金との比較

続いて同様に、特別高圧における、一般の電気料金単価の推移と オフサイトPPA の電気料金単価も比較します。

※一般電気料金単価:一般社団法人エネルギ―情報センター「新電力ネット」を元に、再エネ賦課金を加えたもの。

こちらも高圧同様に、

電気料金高騰時には電気料金削減になるが、通常時には割高になる

ことが分かります。

さらに特別高圧の方が、高圧と比較すると一般的な電気料金より割高になることも分かります。

オフサイトPPAの電気料金の特徴

このように、オフサイトPPAの電気料金は、通常の電気料金よりは割高になりますが
一般の電気料金が高騰した際には、ある程度金額を抑えることができるため、

「電気料金を安定させる」ことができると言えます。

「オンサイトPPA」との比較

続いて、オフサイトPPA を、自家消費型太陽光発電 の他のモデルと比較していきます。
まずオンサイトPPA との違い」を見て行きましょう。

オンサイトPPAとは?

 
 
オンサイトPPAとは、

・「自社の敷地内」に
・「第三者所有」の太陽光発電所を設置し
・その発電所で発電した電気を購入する

という自家消費型太陽光発電になります。


発電所の設置場所が「敷地内か」「敷地外か」の違い

オンサイトPPAオフサイトPPA の大きな違いは、
単純に発電所の設置場所が「敷地内(オンサイト)」か「敷地外(オフサイト)」かの違いになります。

しかし、この違いによって、さまざまな特徴の違いが出てきます。

オンサイトPPAとオフサイトPPAとの比較

オンサイトPPAオフサイトPPA の違いをまとめると、表のようになります。



両者の6つの違い

両者の6つの違いについて、順番に見て行きましょう。

 

1. 発電所の規模

敷地内の広さに限定される「オンサイトPPA」と違い、
敷地外に設置する「オフサイトPPA」は、需要に合わせて広い土地での発電も可能になるため、発電所の規模を大きくできます。

 

2. CO2削減量、電気料金削減量

発電所の規模が大きい分「オフサイトPPA」の方がCO2削減量、電気料金削減量ともに大きくなります。

ただし「オフサイトPPA」の電気料金の削減量が大きくなるのは、現状「一般の電気料金が高騰」している状況下にあるためです。
「オフサイトPPAの電気料金」の章でもご紹介したように、仮に一般の電気料金が高騰前の価格に戻った場合には「オフサイトPPAの電気料金の方が割高」になります。

 

3. 電気料金の単価

規模が大きい分、電気料金全体の削減は オフサイトPPA の方が大きくなりますが
単価で見ると「オンサイトPPA」の方が安く抑えられます。

 

4. 契約ハードル

オンサイトPPAオフサイトPPA と比較すると、契約ハードルはそこまで高くはありません。

 

5. 非常用電源としての活用

オンサイトPPA」は、非常用電源として活用することが出来ますが、
オフサイトPPA」は、非常用電源としての活用には不向きです。

オフサイトPPA は、小売電気事業者 の送配電網を使って電気を送配電しているため、災害時に送配電網に不具合が生じてしまうと、電気を受け取ることが出来なくなってしまいます。

対して、オンサイトPPA の場合には、送電は 需要家 の建物内で行われるため、送配電網に不具合が出た場合でも、非常用電源として活用することが出来ます。

 

6. 日本国内での普及

「契約ハードルが高い」面から、オフサイトPPA を導入する企業は、大企業が大半となっており、
現在の日本国内では「オンサイトPPA」の方が普及しています。

両者に共通する2つの特徴

続いて、オンサイトPPAオフサイトPPA どちらにも共通する特徴をまとめて行きます。

 

1. 導入費用やメンテナンス費用がかからない

需要家 が自分で発電所を導入する、自社所有モデル自己託送 と異なり、
導入費用やメンテナンス費用がかからない点が大きな特徴であり、メリットです。

 

2. 長期的な利益は、自社所有モデルや自己託送の方が大きい

自社所有モデル自己託送 は電気料金がかからないため、電気料金の削減金額から導入費用を回収していくモデルです。

オンサイトPPAオフサイトPPA は、毎月電気料金を支払い、その電気料金には PPA事業者 が負担している導入費用やメンテナンス費用、さらに「PPA事業者 の利益」が加算されています。

PPA事業者 の利益」が上乗せされている分、長期的にみると自社所有モデル や 自己託送 の方が利益が大きくなります。

例:自社所有モデルとオンサイトPPAの電気料金内訳



オンサイトPPAについてより詳しくはこちら

オンサイトPPAについて、より詳しくは下記の記事で解説しています。
よろしければご参照ください。

「自己託送」との比較

続いて、自己託送オフサイトPPA を比較していきます。

自己託送とは?

電気を使用する敷地外に「需要家 所有」の発電所を設置し、そこから送電した電気を使用するモデルの太陽光発電です。



発電所の持ち主が「需要家か」「PPA事業者か」の違い

両者の異なる点は発電所の持ち主が「需要家か」「PPA事業者か」という違いになります。

自己託送とオフサイトPPAとの比較

自己託送オフサイトPPA の違いをまとめると、表のようになります。



両者の4つの違い

両者の4つの違いについて、順番に見て行きましょう。

 

1. 導入費用とメンテナンス費用

自己託送 の場合には、需要家 が自分の発電所として導入するため
「導入費用とメンテナンス費用」は需要家 が負担する必要があります。

負担する金額が大きい

自己託送 は「発電所の規模が大きい」ため、自社所有モデル よりも
「導入費用やメンテナンス費用の金額」が大きくなります

 

2. 小売電気事業者の介在

自己託送 は(小売電気事業者 の送配電網を借りて)直接、需要家 である自社に送電するため、小売電気事業者 を介する必要がありません



小売電気事業者 が介在しない」「しかし、小売電気事業者 の送配電網は使用する」点は、
次の「電気料金」に関わってきます。

 

3. 電気量料金

自己託送 とオフサイトPPA の電気料金の内訳を比較すると、下記のようになります。



電気量料金

自己託送 は、自社所有の発電所で発電しているので、電気量料金はかかりません。

託送料金・バランシングコスト

しかし 自己託送小売電気事業者 の送配電網を利用して遠隔地に送電しているため、託送料金バランシングコスト がかかります。

再エネ賦課金

自己託送は、小売電気事業者 を介していないので「再エネ賦課金」がかかりません。

 

4. 電気料金の削減

オフサイトPPA の電気料金」の項でも解説したように、オフサイトPPA の電気料金単価は「電気料金が高騰している現状」では、一般の電気料金よりも安く抑えることができます。

しかしその反面、仮に高騰前の電気料金に戻った場合には「オフサイトPPA の電気料金」は割高になってしまいます。

自己託送 は、規模の大きい発電所で多くの電気を発電するため、現在の 自家消費型太陽光発電 のモデルの中では、最も多くの電気料金を削減することができます。

前述のように、導入費用やメンテナンス費用も大きいのですが、その分削減できる金額も大きく「電気料金削減による利益増」で見た際にも、 自家消費型太陽光発電 のモデルの中で最も利益総額が大きいモデルになります。

両者に共通する2つの特徴

続いて、自己託送オフサイトPPA どちらにも共通する特徴をまとめて行きます。

 

1. 規模の大きい発電所を導入できる

自己託送オフサイトPPA はどちらも、需要地 の外に発電所を導入するため
敷地の大きさに限定されず、大規模な発電所を導入することが可能です。

 

2. 複数の需要地へ送電できる



自己託送オフサイトPPA はどちらも、複数の需要地に送電することができます。
(自己託送 は、グループ企業などの「密接な関係」にある企業に限ります)

自己託送についてより詳しくはこちら

自己託送について、より詳しくは下記の記事で解説しています。
よろしければご参照ください。

オフサイトPPAで使用できる補助金制度

続いて、オフサイトPPAで使用できる補助金制度をご紹介します。

補助金の有無は需要家にも関係ある?

「補助金を直接受ける」のは、オフサイトPPA の場合には、需要家 ではなく
発電所を導入する PPA事業者 です。

しかし、補助金制度の中には、オフサイトPPA に対して行われた補助 の中で
電気料金の値引きなどで需要家 に還元」することが条件となっているものもあります。

そのため、需要家 にとっても、オフサイトPPA の補助金は重要になってきます。

需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金

オフサイトPPA に使用できる、代表的な補助金制度が
需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金」です。

どんな補助金制度?

一定規模以上の太陽光発電や蓄電池を運用する「発電事業者」が
導入費用の「最大2/3の補助」が得られる補助金制度です。

まだ現段階では、概算要求 の情報のみになっていますので、
詳細は明らかになっていませんが、令和4年度にも同じ補助金制度の公募が行われていました。

詳細は下記記事にて、概算要求 と令和4年度の公募内容から解説していますので
よろしければご参照ください。

他にもさまざまな補助金制度が公募されている

上記の「需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金」は、
オフサイトPPA にも活用できる補助金制度の代表例ですが、

他にもさまざまな用途で導入する太陽光発電に対して、さまざまな補助金制度が設けられています。
詳しくは下記の記事をご参照ください。

オフサイトPPAの導入事例

続いて、オフサイトPPA の導入事例をご紹介していきます。
オフサイトPPA を導入する企業は、前述のように大手企業が多い傾向があります。

中でも、特徴的な導入方法を用いているポイントを中心にご紹介していきます。
導入をご検討の際にお役立てください。

ヒューリック株式会社

RE100 にも加盟している、不動産会社のヒューリックは、自社グループ内で完結する オフサイトPPA を導入しています。

自社グループ完結型コーポレートPPAモデル

ヒューリックの オフサイトPPA は、PPA事業者 需要家 小売電気事業者 がすべて自社グループ内の企業で「自社グループ完結型コーポレートPPAモデル」とも呼ばれています。

本記事の解説の中では、オフサイトPPA においては、PPA事業者需要家 は別の会社であることが一般的であると解説していましたが、
ヒューリックの オフサイトPPA は、小売電気事業者 を介していることからも、オフサイトPPA に分類されます。

再エネ施設はすべて新設で、追加性 のある再エネを導入しています。

詳しくはこちら

ヒューリック株式会社「2030年に全保有建物CO2排出量ネットゼロを達成 保有建物すべてに自社の非FIT再エネ電源から電気供給」

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスも、RE100 加盟企業です。
セブン-イレブン40店舗や、東京都内の複合商業施設「アリア亀有」で使用する電力を再エネで補うために、NTTグループと連携した オフサイトPPA を展開しています。

不足分もNTTグループの他の再エネ由来電力を導入

PPA事業者は、NTTグループのNTTアノードエナジーで、
千葉県内2か所の太陽光発電所から送電します。

しかし、オフサイトPPA だけでは必要な電力をすべてカバーすることはできないため、
不足分もNTTグループの他の再エネ由来電力を導入することで賄い、再エネ100%を目指しています。

詳しくはこちら

日経XTECH「NTTがセブンイレブンに再エネ提供、国内初の「オフサイトPPA」に」

花王

花王も、RE100 加盟企業です。
東京都内の本社で使用する電力を、オフサイトPPA で調達しています。

補助金を活用して電気料金を抑える

PPA事業者 である、ジェネックスとみんなパワーは、
2021年度に実施されていた補助金「令和3年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」を適用し
補助金で削減した分、花王が支払う電気料金の値下げも実現しています。

その結果、一般の電気料金と同程度の金額の電気料金に抑えることができています。

詳しくはこちら

メガソーラービジネス「花王がオフサイト型PPAで太陽光電力を調達、JCLPが支援」

Amazon

Amazonも、RE100 加盟企業です。
電力の利用場所は非公開ですが、約450か所の発電所から約2万2000kWの電力を供給する オフサイトPPA を導入しています。

太陽光発電所の平均出力は50kW未満

Amazonの オフサイトPPA の特徴は「多数の小さな発電所から、オフサイトPPA を通じて、大規模な電力を得ている」点です。

約450か所の発電所で、約2万2000kWの発電をしており、平均出力は50kW未満です。

オフサイトPPA自己託送 は、発電所の用地獲得もハードルのひとつです。

オフサイトPPA は、複数個所からの送電も可能であるため、Amazonの事例のように、小さな土地の発電所を多数獲得して大規模な発電を可能にすることもできるのです。

詳しくはこちら

Amazon「Amazonと三菱商事、日本初の再生可能エネルギー購入契約を締結」

まとめ

いかがでしたでしょうか?
オフサイトPPA について、基本的な情報をご理解頂けたのではないかと思います。

・オフサイトPPAは、PPA事業者から小売電気事業者を介して需要家に供給されるモデル。
・近年の電気料金高騰から、一般の電気料金より割安になっている。
・契約ハードルが高く、大手企業向けの施策である。
・「直接型オフサイトPPA」や「バーチャルPPA」などの種類もある。

本記事が、御社の再エネ導入のお役に合立てれば幸いです。

また、同じ自家消費型太陽光発電 には、オフサイトPPA 以外にもさまざまなモデルがあります。

そのどれもに共通する基本情報や注意点を
下記の資料にてご紹介しています。

特に、自家消費型太陽光発電 の「設計に関する注意点」は、
導入前にしておいたほうが良いポイントになるかと思いますので、
ぜひこちらもお役立てください。