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【2025年最新版】オフサイトPPAとは?仕組み・メリット・デメリット・導入事例を徹底解説
法人

※2025年8月21日:最新情報に更新しました。

近年、電気料金の高騰企業に求められる脱炭素対応を背景に、
再生可能エネルギーの導入はますます注目を集めています。

その中でも、特に企業から関心が高まっている手法のひとつが
オフサイトPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)」です。

本記事では、この「オフサイトPPA」について

1.前半では「5分でわかる」ように基本をわかりやすく解説し、

2.後半では、リスクや制度改正、事例などより詳しい内容を深掘り

していきます。

「オフサイトPPAについて概要だけ知りたい」方も、

「詳細を踏まえて導入を検討したい」方にも

役立つよう構成していますので、ぜひ最後までご覧ください。

※「蛍光マーカーが引いてある専門用語」にカーソルを合わせれば解説が表示されます。
省エネにあまり詳しくない方にも分かりやすい記事をお届けするため、
あらゆる専門用語に解説を付けています。どうぞお役立てください。



オフサイトPPAとは?基本をわかりやすく解説

オフサイトPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)とは、
企業や自治体などの 需要家 が、遠隔地の太陽光発電所や風力発電所から再エネ電力を長期契約で購入する仕組みです。

オンサイトPPA」が自社の敷地内に発電設備を設置するのに対し、
オフサイトPPAは敷地外に設置された大規模な発電所の電力を送電網を通じて利用します。
これにより、都市部のオフィスビルや工場でも、場所を取らずに再エネを導入できます。

▼オフサイトPPAの仕組みイメージ(発電所 ⇔ 送電網 ⇔ 企業)

 

オフサイトPPAの契約期間は10年〜20年と長期にわたるのが一般的です。
そのため、電力価格の変動リスクを回避しつつ、安定的に再エネを調達できる点が大きなメリットです。

特に近年は「RE100」や「脱炭素経営」の流れを受けて、
大手企業を中心にオフサイトPPAの導入が急速に拡大しています。

オフサイトPPAの仕組み【図解】

契約の流れと関係者の役割

オフサイトPPAでは、発電事業者」「小売電気事業者」「需要家(企業)」の3者が登場します。
企業は発電事業者と長期契約を結び、電力会社の送電網を通して再エネを受け取ります。

▼オフサイトPPAの基本スキーム(発電所 → 送電網 → 企業)

 

契約の特徴は以下の通りです:

  • 発電事業者:再エネ発電所を建設・運営し、需要家に電力を供給
  • 送電事業者:既存の送電網を利用して電力を届ける
  • 需要家(企業):長期契約に基づき、再エネを利用

この仕組みにより、企業は自社に設備を設置せずとも再エネを調達でき、
CO2排出削減やRE100への対応が可能となります。

フィジカルPPAとバーチャルPPAの違い

オフサイトPPAには大きく分けてフィジカルPPA」と「バーチャルPPAの2つの形態があります。
それぞれの違いは「電力を実際に受け取るか、環境価値だけ受け取るか」です。

  • フィジカルPPA 発電所からの電力を送電網を通して実際に自社で使用する仕組み
  • バーチャルPPA 電力は市場で取引され、企業は環境価値(非化石証書など)を受け取る契約

▼フィジカルPPAとバーチャルPPAの違い

 

フィジカルPPAは「実際の電気を使える」ため分かりやすいですが、
送電網の制約を受ける場合があります。

一方、バーチャルPPAは地理的な制約を受けにくく、グローバル企業の再エネ調達で広く活用されています。

オフサイトPPAのメリット

オフサイトPPAを活用することで、企業は単に再生可能エネルギーを導入するだけでなく、
経営面・環境面の双方に大きなメリットを得ることができます。ここでは代表的な利点を整理して解説します。

1.初期投資が不要で導入ハードルが低い

自家消費型の太陽光発電では、自社の敷地に設備を設置するため大きな初期投資が必要です。
一方、オフサイトPPAでは発電所の建設・運用費用を発電事業者が負担するため、
企業側は初期投資なしで再エネを調達可能です。資金負担を避けながら脱炭素を進められる点は大きな魅力です。

2.長期的な電気料金の安定化

オフサイトPPAは10~20年といった長期契約が一般的であり、契約期間中は電力価格が固定または安定的に推移します。

電気料金の高騰リスクを回避し、中長期的なコスト削減につながります。
エネルギーコストを予測しやすくなるため、経営計画の安定化にも寄与します。

3.再エネ導入による脱炭素経営の推進

調達する電力が再生可能エネルギーであるため、企業のCO2排出量削減に直接貢献します。

RE100カーボンニュートラル といった国際的な目標や、
国内の「GXリーグ」への対応としても効果的です。サステナビリティレポートや ESG投資 評価においても、再エネ比率の高さは企業価値を高める要素となります。

4.自社敷地の制約を受けない

自家消費型の太陽光発電は「屋根や敷地に十分な設置スペースがあること」が前提ですが、
オフサイトPPAでは発電所を外部に設置できるため、都市部のオフィスや工場敷地が限られる企業でも
再エネ導入が可能です。柔軟に規模を拡大できる点もメリットです。

5.ブランド価値・社会的評価の向上

再エネ利用は企業イメージを大きく向上させます。
消費者や取引先からの信頼を得られるだけでなく、SDGsを重視する投資家や金融機関からの
評価も高まり、調達や採用活動にもプラスに作用します。

まとめ:
オフサイトPPAは「初期投資ゼロで始められる」「電気料金を安定化できる」「CO2削減につながる」など、
多面的なメリットをもたらします。特に、環境経営とコスト削減の両立を目指す企業にとって、
非常に有効な選択肢といえるでしょう。

オフサイトPPAのデメリット・注意点

オフサイトPPAは多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点やデメリットも存在します。
これらを正しく理解したうえで導入を検討することが重要です。

1.契約期間が長期に及ぶ

オフサイトPPAは10〜20年といった長期契約が基本です。
そのため、契約後に電力市場価格が下落した場合には、割高な電気料金を支払い続けるリスクがあります。
また、長期契約は企業戦略の柔軟性を制約する可能性もあるため、契約内容を慎重に検討する必要があります。

2.オフサイト特有の送電コスト・託送料金

発電所が自社から離れた場所にあるため、電力を送電する際に「託送料金」が発生します。
自家消費型に比べると、このコスト負担が追加される点には注意が必要です。
契約時には、電気料金以外の費用項目も含めた総合的なコストを確認しましょう。

3.制度や政策変更の影響を受けやすい

再生可能エネルギー関連の制度や電力市場のルールは、政策によって変化する可能性があります。
特にオフサイトPPAは新しい仕組みであるため、法制度の改定や補助金の有無などが
契約条件や経済性に影響を与えるリスクがあります。

4.契約交渉や手続きが複雑

オフサイトPPAでは、発電事業者小売電気事業者・需要家の三者が関与するため、
契約スキームが複雑になります。法務・会計・エネルギー分野の知識が必要となり、
導入には専門家のサポートが欠かせません。事前に信頼できるパートナーを選定することが重要です。

5.すべての企業に適しているわけではない

小規模な電力需要しか持たない企業や、短期間での導入・撤退を想定する企業には、
オフサイトPPAは必ずしも適していません。その場合は「オンサイトPPA」や
「グリーン電力証書」など、他の選択肢を比較検討することが有効です。

まとめ:
オフサイトPPAは再エネ導入の強力な手段ですが、
「長期契約のリスク」「送電コスト」「制度変更の影響」など、留意すべき点も存在します。
導入にあたっては、メリットとデメリットを総合的に比較し、自社の経営戦略やエネルギー需要に合った選択を行うことが重要です。

オフサイトPPAとオンサイトPPAの比較

再エネ導入の代表的なスキームには、オンサイトPPAオフサイトPPAの2種類があります。両者の違いを理解しておくことで、自社に最適な導入方法を選択することが可能になります。

オンサイトPPAとは?

オンサイトPPAは、需要家の敷地内や屋根に太陽光発電設備を設置し、その場で発電した電気を直接利用する仕組みです。設備はPPA事業者が無償で設置・保有し、企業は長期契約に基づいて電力を購入します。初期投資不要で自家消費ができる点が特徴です。

オフサイトPPAとは?

一方、オフサイトPPAは企業の敷地外にある再エネ発電所から電力を調達する仕組みです。発電所と需要家は送電網を介してつながっており、距離や敷地条件に制約されない点が特徴です。企業は長期契約により安定的に再エネ電力を利用できます。

両者の比較表

項目 オンサイトPPA オフサイトPPA
設置場所 需要家の敷地内・屋根 需要家の敷地外(遠隔地の発電所)
導入条件 屋根強度・日射条件・スペースの確保が必要 敷地条件に左右されない
供給の安定性 自家消費が中心、余剰は売電 長期契約により安定供給
スケール 設置可能面積に依存 大規模発電所からの調達も可能
メリット 敷地内で直接利用できるため送電ロスが少ない 大規模導入が可能でRE100対応に有効
デメリット 敷地条件により導入できないケースあり 送電網利用料や契約の複雑さが課題

このように、オンサイトPPAは「小規模でも自社で直接使いたい場合」に適し、オフサイトPPAは「より大規模に再エネを導入したい場合」に適しています。企業規模や導入目的に応じて選択することが重要です。

国内外のオフサイトPPA導入事例

オフサイトPPAは日本国内でも徐々に普及が進んでおり、海外ではすでに再エネ導入の有力な手法として広く利用されています。ここでは、国内外の代表的な事例を紹介し、実際にどのような効果が得られているのかを解説します。

国内事例

トヨタ紡織(刈谷工場)

中部電力ミライズのオフサイトPPAサービスを導入し、年間約13,300t-CO₂の削減を達成。契約期間は20年、発電設備出力は310 kWです。

出典:トヨタ紡織「刈谷工場にオフサイトPPAサービスを導入」(2025年4月15日)

札幌トヨタ(販売店35拠点)

北海道電力との20年契約のオフサイトPPAにより、年間約300t-CO₂を削減。
出典:札幌トヨタ「年間約300トンのCO₂削減に向けた…オフサイトPPAの契約締結について」(2023年9月29日)

海外事例

Google(米国)

エネルギー供給業者energyReと12年のオフサイトPPAを締結し、同時に再生可能エネルギー証書(RECs)も取得、約56,000世帯相当を賄う発電量を確保。
出典:EnergyTech「Google commits to 12-year Solar PPA for 435 MW…」(2024年10月9日)

Google/Baseload Capital(台湾)

台湾で初となる10MW規模の地熱オフサイトPPA契約を締結し、台湾国内の地熱容量を倍増へ。
出典:ThinkGeoEnergy「Google, Baseload Capital ink geothermal PPA in Taiwan」(2025年4月15日)

効果の数値化

  • トヨタ紡織では年間約13,300t-CO₂削減、
    札幌トヨタでは年間約300t-CO₂削減と、具体的な環境効果が確認されています。
  • Googleの事例では、数万世帯分の電力相当を長期契約で確保しながら、証書によって再エネ利用の証明を得ることで、コスト安定性と環境管理の両立を実現しています。

このように、国内外の事例を通じて「CO₂削減」「安定調達」「再エネ証明」といった効果が明確に示されています。導入を検討する際は、数値的な成果がある事例を参考にすると説得力が高まります。

オフサイトPPAの財務効果シミュレーション

オフサイトPPAを導入する企業にとって最も気になるのは、「どのくらい電気代が下がり、投資回収にどれほど効果があるのか」という財務的なメリットです。ここでは、典型的なケースを想定したシミュレーションを紹介します。

シミュレーション条件

  • 年間電力使用量:5,000,000kWh(中規模工場を想定)
  • 現行の電気料金:20円/kWh(再エネ非導入の場合)
  • PPA単価:17円/kWh(20年契約想定)
  • 契約容量:3,000,000kWh/年(電力需要の60%をカバー)

年間コストの比較

– 従来(電力会社から全量購入):
5,000,000kWh × 20円 = 1億円/年

– オフサイトPPA導入後(60%をPPAで調達):
(3,000,000kWh × 17円) + (2,000,000kWh × 20円) = 9,100万円/年

→ 年間900万円のコスト削減が可能になります。

長期的な効果

  • 20年間で約1.8億円の削減効果(単純計算)
  • 契約中は電気料金の変動リスクを軽減でき、安定したコスト管理が可能
  • 再エネ利用によるCO₂排出量削減効果を定量的に報告できる

補助金・会計処理の観点

日本国内では再エネ導入に関する補助金制度や、ESG投資の観点から企業価値向上に資する効果も期待できます。さらに、PPA契約は自社で設備投資を行わないためバランスシートに負担を与えずに効果を享受できる点も大きなメリットです。

このように、オフサイトPPAは単なる環境対策にとどまらず、「財務戦略としても有効な施策」であることが分かります。

オフサイトPPAの最新動向・制度改正

オフサイトPPAは近年、政策や制度の後押しによって普及が加速しています。ここでは、最新の制度改正や補助金情報、さらに海外市場の動向について整理します。

自己託送ガイドラインの改正

経済産業省は2022年以降、自己託送に関するガイドラインを段階的に見直しており、2023年の改正では託送料金の算定方法や契約手続きが明確化されました。これにより、再エネ事業者と需要家企業との間での契約スキームが利用しやすくなり、オフサイトPPAの事業性が高まったといえます。

FIP制度・再エネ特措法との関係

2022年4月から施行されたFIP制度(Feed-in Premium)は、再エネ事業者が市場価格に応じて収益を得る仕組みを導入しました。これにより、発電事業者はPPA契約を通じて需要家と直接取引を行うインセンティブが増加しています。また、再エネ特措法との整合性も図られており、PPA契約とFIPを組み合わせることで、安定した収益モデルを構築できるようになっています。

補助金の見通し(2025年8月時点)

2025年8月現在、オフサイトPPA導入を支援する補助制度は以下のように整理されます。PPA導入検討にあたっては、最新の公募状況や予算動向を常に確認することが重要です。

  • 需要家主導型太陽光発電導入促進補助金(経済産業省)
    オフサイトPPA向け案件にも利用可能な大規模補助制度ですが、2025年度は新規公募が行われず、既採択案件の継続的支援のみとなっています。今後の再開は未定です。
  • ストレージパリティ達成支援事業(環境省)
    太陽光+蓄電池を導入する企業に対して、PPA導入でも利用可能な補助が提供されています。2025年度も継続予定で、PPA・リースの場合は太陽光に対し約5万円/kWの補助が見込まれます。
  • 民間企業等による再エネ導入・地域共生加速化事業(環境省)
    2025年度の関連事業予算は約34.5億円の見込みで、オフサイトPPAやPPA型の蓄電を含む再エネ導入に補助対象を広げた支援枠が設けられています。
  • 需要家主導・蓄電池併設型導入支援事業費補助金
    この事業では、オフサイトPPAの普及やFIP認定設備への蓄電池併設を促進する目的で、最大2/3の補助率(上限なし)で支援が提供されます。2025年度は新規公募なく、継続案件のみの予算設定となっています。
  • 地方自治体による再エネ補助金制度
    東京都など自治体では、太陽光 + 蓄電池設置に対して最大2/3補助(上限数億円)の制度が継続中で、オフサイトPPAと組み合わせた導入にも活用可能です。公募期間は自治体により異なりますので、個別確認が必要です。

以上のように、2025年度時点で注目される補助制度は「全国規模の支援制度」よりも、「ストレージ併設やPPA対応を明確に含む制度」が中心となります。特に蓄電池併設の前提で補助枠が拡大している点が注目すべきポイントです。

海外市場の動向

欧米ではすでにオフサイトPPAが大企業を中心に広く普及しています。特にアメリカではGoogle、Microsoft、Amazonといったテック企業が大規模PPAを締結し、再エネ調達を進めています。また欧州でも、RE100を掲げる企業が積極的に契約を進めており、PPA市場は「企業の脱炭素競争」の主戦場となっています。日本企業においても、海外動向を参考にした長期契約スキームの導入が今後さらに進むと予想されます。

オフサイトPPAの導入に適した企業は?

オフサイトPPAは、すべての企業に適しているわけではなく、特に次のような条件を満たす企業に導入効果が高いと考えられます。

1. 電力使用量が大きい企業

製造業、データセンター、大型オフィスなど、電力需要が多い企業はオフサイトPPAを導入することで、再エネ調達量を一気に増やすことができます。特に工場や24時間稼働する施設では、安定した再エネ電力の供給が大きなメリットとなります。

2. 脱炭素経営を重視する企業

ESG投資やサプライチェーン全体での脱炭素が重視される中、RE100やSBT認証など国際的な基準を満たす必要がある企業にとって、オフサイトPPAは有力な選択肢です。企業価値やブランドイメージ向上にも直結します。

3. 自社敷地に太陽光を設置できない企業

都市部に本社を構える企業や、賃貸オフィスを利用している企業は、自社ビル屋根や敷地に太陽光発電を設置できないケースが多くあります。オフサイトPPAであれば、遠隔地に設置した発電所から電力を自己託送できるため、立地条件に左右されずに再エネ導入が可能です。

4. 長期的に電気料金の安定化を図りたい企業

電気料金の高騰リスクに備えたい企業にとっても、オフサイトPPAは有効です。契約期間が10年〜20年と長期にわたるため、将来的な電力コストの見通しを立てやすくなり、経営の安定性を高めます。

このように、オフサイトPPAは「電力需要が大きく、脱炭素への意欲が高い」企業や「自社で再エネ設備を持てない」企業に特に向いている制度です。導入を検討する際には、自社の電力需要・環境目標・経営戦略と照らし合わせて判断することが重要です。

オフサイトPPA導入プロセス【導入を検討する企業向け】

オフサイトPPAを導入するにあたり、企業は「検討 → 契約 → 社内調整 → 稼働」という流れで進める必要があります。ここでは各ステップを分かりやすく整理しました。

社内検討ステップ

まずは自社のエネルギー使用量・電気料金・脱炭素方針を把握することから始まります。特に以下の視点が重要です。

  • 年間の電力消費量とピーク需要の確認
  • 2030年・2050年に向けた脱炭素ロードマップとの整合性
  • コスト削減効果とリスクの試算(電気料金の将来予測を含む)

この段階で、オンサイトPPAとの比較や、他の再エネ調達手段(証書購入や自己託送以外の契約)との違いも整理しておくと、後の意思決定がスムーズになります。

契約設計・交渉のポイント

オフサイトPPAは長期契約が基本となるため、契約設計は極めて重要です。特に次の観点を押さえる必要があります。

  • 契約期間:10〜20年が一般的。長期的な価格安定と柔軟性のバランスが課題。
  • 価格設定:固定価格か、市場連動型か。リスク分担の考え方が重要。
  • 供給保証:発電量の不足時の補填ルール(バックアップ電源や市場調達)を明記。
  • 再エネ価値の扱い:非化石証書・Jクレジットなど環境価値の帰属を契約に盛り込む。

交渉においては、PPA事業者側と「リスクをどう分担するか」が最大の論点となります。

社内合意形成の流れ

再エネ調達は単なるコスト問題にとどまらず、経営戦略やCSR・ESG方針とも深く関わります。そのため、以下の部署を巻き込んだ社内合意形成が不可欠です。

  • 経営層(全社戦略との整合性、長期契約リスクの判断)
  • 財務部門(キャッシュフロー、契約の会計処理)
  • 法務部門(契約書レビュー、リスク対応)
  • サステナビリティ部門(ESG評価、外部発信との整合性)

特に上場企業では、投資家への説明責任を見据えた透明性の高い合意形成が求められます。

稼働までのフロー

導入決定後から稼働までは、おおむね以下の流れで進みます。

  1. 発電事業者・小売電気事業者との契約締結
  2. 電力会社・送配電事業者との手続き(自己託送の申請など)
  3. 必要に応じた工事(受電設備や計測機器の整備)
  4. 試運転と受給開始(契約開始日を設定)

契約から実際の受電開始までは半年〜1年程度かかるケースが一般的です。導入スケジュールを逆算して準備を進めることが成功のポイントとなります。

まとめ

本記事では、オフサイトPPAの基本から仕組み、メリット・デメリット、国内外の導入事例、最新動向まで幅広く解説しました。
オフサイトPPAは、電力需要が大きい企業や脱炭素経営を重視する企業にとって、再生可能エネルギーを安定的かつ効率的に調達できる有力な手法です。

特に、電気料金の高騰リスクを回避したい企業や、RE100・SBT認証などの国際基準に対応したい企業にとって、長期契約によるコスト安定性と環境価値の確保は大きな魅力となります。
また、自社で太陽光を設置できない都市部企業にとっても、オフサイトPPAは有効な選択肢です。

今後、制度改正や補助金の拡充によってオフサイトPPA市場はさらに拡大が見込まれます。
自社の電力需要や環境目標に照らし合わせ、早めに情報収集と検討を進めることが、持続可能な企業経営の第一歩といえるでしょう。

弊社では、オフサイトPPAの導入検討から契約設計、運用までトータルでサポートしております。
導入をお考えの方はぜひお気軽にご相談ください。