※2022年9月2日:最新情報に更新しました。
日本国内でも「CO2削減」が大きく叫ばれるようになって来ています。
「SDGs」は何となく耳にしたことがあるけれど
「RE100」「RE Acrion」「J-クレジット制度」などあまり聞きなれない言葉もあるのではないでしょうか?
CO2削減 や 低炭素社会(脱炭素社会)への取り組みは「企業イメージの良化」だけでなく
「企業の利益に直結する」ようになってきています。
といった「企業にとっての具体的なメリット」が出るようになっています。
その背景から、順を追って解説して行きます。
目次
まずは 低炭素社会 に向けて、国連で定められた「SDGs」は有名ですが
他にも「RE100」や「RE Acrion」「J-クレジット制度」など、他にもさまざまな取り組みや制度があります。
そしてそれらは「環境問題に取り組んでいる」という「CSR」の観点だけでなく
実際に「企業の収益」となるようになっています。
ひとつひとつ順番に見て行きましょう。
SDGs とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
2015年9月の国連サミットにおいて、国連加盟国193か国が2016年~2030年の15年間で達成していく目標を定めたものです。
具体的な内容としては下記の17項目を掲げています。
出典:外務省「JAPAN SDGs Action Platform」
この中で特に、環境問題やエネルギー問題について掲げられている目標については下記2項目になります。
このように、環境負荷低減が世界的にも大きな目標として掲げられています。
そうした背景もあり、RE100 の取組みが始まりました。
RE100 とは「事業運営で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達する」ことを目標に掲げた「国際イニシアチブ」です。
国の枠を超えて多くの企業が加盟しており、
2022年9月現在、世界で378社、日本では72社が加盟しています。
「国際イニシアチブ」と言うとあまり意味がピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
「イニシアチブ」とは「物事を率先しておこなうこと」の意です。
RE100 は「事業運営で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達する」という目標を率先して行っていくという、国を超えた各企業の宣言と解釈すると分かりやすいかと思います。
RE100 は「Renewable Energy 100%(再生可能エネルギー100%)」の頭文字を取った名称です。
それではこの RE100 に参加することにどのようなメリットがあるのでしょうか?
ESG投資 とは、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のことです。
世界的にも拡大しており、2018年には欧州/米国に次いで日本は3位となり、
日本国内からの投資も増えています。
この ESG投資 において、
RE100 に参加していることは投資家から高い評価を受けることに繋がります。
事業に必要なエネルギーを再エネで賄うことで、化石燃料高騰によるコスト増加へのリスクを抑えることができます。
RE100 に参加するには、以下の要件に該当する必要があります。
1. 消費電力量が年間100GWh以上であること
2. 自社事業で使用する電力(GHGプロトコルのスコープ2及び1の電力消費)の100%再生エネ化に向け、
期限を切った目標を設定し、公表すること
3. グループ全体での参加及び再エネ化にコミットすること
この内容を見ると、大手有名企業以外はあまり関係ないと思われるかもしれません。
しかしながらここでご注意いただきたいのは、
『RE100加盟企業の中には、取引先にも再生可能エネルギー導入を求める企業もいる」
という点です。
例として、イオンは提携企業にも再エネ化の協力を求めており、
Appleは取引先の選択基準に再エネ化への取り組み状況を加味することを明言しています。
このように、世界各国の目標から大企業、そしてその取引先としての一般企業へと、
再エネ導入の重要性が高まっています。
こうした背景からも、再エネの導入は環境問題に取り組む大手企業との取引を可能にする為、企業競争力を高めることに繋がるのです。
またこうした経緯を受けて、RE100 に参加できない中小企業も参加できる
国内の枠組みとして「RE Acrion」が2019年9月に発足しました。
2022年9月の段階で279の団体が参加しています。
参照サイト:再エネ100宣言「RE Acrion」
このように、企業の再エネ導入におけるメリットから様々な取り組みが加速しています。
自家消費型太陽光発電 などの再エネを導入することで得られた「温室効果ガスの排出削減量」は
売って利益にすることができます。
これはどのような仕組みなのでしょうか?解説していきます。
前述の通り、RE100 加盟企業は 再エネ導入に大きな目標を掲げています。
また 省エネ法 や 温対法 で報告を求められている企業や、ESG投資 で投資家から高い評価を得たい企業にとっても CO2削減 目標はとても重要なものになります。
その目標を達成する方法として、自社での CO2削減 だけでなく
「他社の CO2削減 実績を購入し、自社の削減実績に加える」ことができるのです。
J-クレジット制度 とは、CO2などの温室効果ガスを再エネなどで削減(または吸収)した量を「クレジット」として認証する国の制度です。
削減量をクレジット化し、それを削減目標を掲げている企業などに販売することができます。
つまり 自家消費型太陽光発電 等で削減した
CO2排出量を販売して企業の収益に変えることができるのです。
それでは仮に 自家消費型太陽光発電 を導入した例に合わせて
「J-クレジット制度」の活用でどれほどの収益が出るか?見ていきましょう。
屋根面積 | 積載太陽光 | 年間概算発電量 | J-クレジット相当額/年 | |
食品卸売業 | 12,000 m2 | 1,000 kw | 1,050,000 kwh | ¥966,000 |
冷凍倉庫 | 6,000 m2 | 500 kw | 520,000 kwh | ¥478,400 |
製造業(生産工場) | 40,000 m2 | 3,600 kw | 3,708,000 kwh | ¥3,411,360 |
製造業(軽作業) | 500 m2 | 45 kw | 47,700 kwh | ¥960,000 |
製造業(鉄鋼業) | 350 m2 | 32 kw | 34,240 kwh | ¥31,500 |
冷凍冷蔵運送業 | 2,500 m2 | 200 kw | 211,000 kwh | ¥194,120 |
出典:株式会社エネテク「業種別シミュレーション」および
出典:新電力ネット「Jクレジット価格の推移」より2019年4月の平均入札価格0.92円/kWhから算出
いかがでしょうか?
自家消費型太陽光発電 を導入した場合、電気料金の削減にもなりますが
併せて「CO2の削減量」を販売して利益を得ることもできるのです。
また「J-クレジット制度」の償却量は2015年以降、毎年伸びています。
この先も新たな取り組みとして、償却量が伸び一般化されてくる可能性があります。
それでは CO2削減 に向けて、私たち企業はどのような手段を用いることが出来るのでしょうか?
前述した「J-クレジット制度」のように「CO2削減」を購入することもできますが、
自社での取り組みで CO2削減 を実現するいくつかの代表的な方法をご紹介します。
RE100 や RE Acrion などは CO2削減 の中でも「再エネの導入」を推進する取り組みです。
再エネには勿論、風力発電やバイオマス発電などさまざまなものがありますが、
導入費用などの面において取り組みやすく、多くの企業が取り入れているのがが「自家消費型太陽光発電」です。
文字通り、施設に太陽光発電を設置し、その電気を事業に用いることです。
CO2削減 になるだけでなく、省エネによる電気料金の削減や
災害時における BCP対策 として、蓄電池と組み合わせて使用することができます。
自家消費型太陽光発電 について詳しくお知りになりたい方は、下記の記事をご参照ください。
日本政府が進めている「働き方改革」と「CO2削減」は、一見無関係に思えます。
しかし両者は近しい関係にあります。
環境省では、この「働き方改革によってCO2削減につながる取り組み」として
下記のように紹介しています。
1.通勤方法を変更する(車通勤から鉄道通勤に変える など)
2.テレワーク・自宅作業を実施する
3.残業時間を減らす
4.オフィスでできる取組にチャレンジする
4-1.冷暖房を適切な温度設定にする(クールビズ、ウォームビズ)
4-2.照明を間引きする、LEDに交換する
4-3.給湯器の使用をやめる
4-4.飲料自販機(缶・ボトル)の利用を抑える
4-5.エレベーターの使用を抑える
4-6.ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)実現に向けて、窓を断熱する
特に今年から、新型コロナウィルス流行により、テレワークを導入する企業も増えています。
そうした取り組みも、CO2削減 につながることになるのです。
また、環境省ではこれらの取組みが具体的にどれほどの CO2削減 になるかを算定できるツールも公開しています。
このように「環境への取り組み」は企業イメージの良化だけでなく
といった具体的なメリットになるように進化しています。
「環境への取り組み」は今後もより重要視されていく可能性が高いため
こうしたメリットも増えていく可能性があります。