太陽光発電設備は、「電気工作物」に該当する場合には、使い始める前に
安全性や電気的な状態を確認する“使用前自己確認”が法令で求められています。
ただし設備の種類や電圧区分によっては、詳細な法的義務の適用範囲が異なるため、
すべての発電所がまったく同じ内容を実施しなければならないわけではありません。
それでも、多くの太陽光発電所では「運転前の確認」が必要であり、
これは安全性・発電性能の両面で非常に重要なステップです。
近年、太陽光発電の普及とともに、施工不良による発電量の低下や、
ケーブルの異常・火災といったトラブルが全国で増えています。
そのため現在は、
「施工が終わった=安全に使える」
とは言い切れない状況になっています。
かんたんに言えば、
太陽光発電所は“運転を開始する前に、安全と性能を確認しておくことが欠かせない”
ということです。これは低圧・高圧の別に関係なく、多くのオーナーに共通する重要なポイントです。
本記事では、
といった内容を、わかりやすく整理しています。
読み終えるころには、太陽光発電所を
安全に・安定して・そして最大限の発電量で運用するための「最初のステップ」
が理解できるようになります。
ぜひ、あなたの発電所の安全性の確保と長期的な収益安定にお役立てください。
目次
太陽光発電設備は電気事業法で定める「電気工作物」に該当し、
運転開始前に、安全性・絶縁・性能を確認する義務が、設置者(オーナー)に課されています。
この法的な確認が、一般に「使用前自己確認」と呼ばれるものです。
ここで特に重要なのは、「施工が終わった=法的確認も終わった」ではないという点です。
施工会社による工事完了と、設備を“使い始めてもよい状態”にするための最終チェックは、まったく別の工程です。
つまり太陽光発電所は、
「施工完了 → 使用前自己確認 → 連系・運転開始」
という流れを経て、初めて安全に稼働できる設備となります。
太陽光発電の普及が進む中で、設備の不備・施工不良・災害時のトラブルなどが社会課題となり、
国や自治体、保険会社を含めた多方面で「安全確認の強化」が求められるようになりました。
近年は特に、次のような背景から、使用前自己確認の重要度が急速に高まっています。
これらの要因から、使用前自己確認は「形式的なチェック」ではなく、
法令遵守・事故防止・長期安定運用の面で必須となる工程として扱われるようになっています。
また、太陽光発電所の「設置者責任」は低圧・高圧を問わず求められるため、
“低圧だから確認は不要”という誤解は完全に通用しません。
むしろ低圧のほうが施工品質のばらつきが大きく、初期不具合の放置が長期の発電損失につながりやすいのが実情です。
使用前自己確認は、運転後の点検(O&M)とは異なり、
施工不良や初期不良を唯一確実に発見できる「最後のチャンス」でもあります。
この工程を省略してしまうと、後のトラブルや収益悪化、保険・保証のトラブルにつながるリスクが高まります。
最近、大きな制度変更があり、太陽光発電所の「使用前自己確認」の対象範囲が拡大しました。
その結果、従来この確認が不要だった小規模な発電所や、すでに運転を始めていた発電所でも、条件によっては改めて確認を求められるケースがあります。
この変化を理解せずに放置すると、思わぬトラブルや法令違反になることもあるため、オーナーの方は特に注意が必要です。
これまで「使用前自己確認」の義務があったのは、おもに 500 kW〜2,000 kW の中〜大規模発電所でした。
しかし 2023年3月20日の法改正により、10 kW以上2,000 kW未満の太陽光発電設備すべてが対象となりました。
つまり、小規模な発電所であっても、新たに“安全確認と届け出”が義務付けられたのです。

この改正は、単に規模を問わない安全対策の義務化だけでなく、
・構造的な安全確認(架台、地盤、支持物の強度など)
・電気的な試験(絶縁・接地、電気的安全性)
をあわせて義務化するもので、安全性向上が目的とされています。
今回の制度拡大によって、新設発電所だけでなく、すでに発電を始めている既設発電所も、下記のような場合には「使用前自己確認」が必要になる可能性があります。

つまり、たとえ「古くからある発電所」であっても、何らかの変更を加える際には、改めて安全確認と届出が義務になる場合がある、ということです。
この点を知らずに変更を進めてしまうと、後から
「適切な確認をしていなかった」「届け出を怠っていた」という理由で、法令違反・保険・保証の問題に直結する恐れがあります。
太陽光発電設備は法律上「電気工作物」にあたり、使い始める前に、
安全に問題がないかどうかを確認する義務があります。
これは“念のためのチェック”ではなく、設置者として必ず行うべき基本の点検です。
最低限、次のような項目を確認します。
これらは太陽光発電に限らず、電気設備全般で必要とされる“基本の安全確認”です。
もしこの段階で異常を見逃すと、火災・感電・設備の故障につながる可能性があります。
そのため、これらの点検は
「できればやる」ではなく「必ずやるべきもの」と考えるのが安全です。
近年は、「使用前自己確認」の必要性が広く知られるようになり、
多くの施工会社が法令や技術基準に基づいた確認の重要性をきちんと理解するようになってきました。
しかし一方で、現場では次のように考えてしまう施工会社が一部残っていることも事実です。
一見すると問題なさそうに見えますが、こうした考え方は
オーナーにとって大きなリスクにつながります。
というのも、「工事が終わった」という工程と、
「設備が安全に使える状態かを確認する工程(使用前自己確認)」はまったく別だからです。
太陽光発電所は、見た目の完成度だけでは安全性も性能も判断できません。
内部の配線が正しく接続されているか、発電性能が設計どおり出ているかは、
きちんと検査を実施しなければ確認できません。
そのため、本来は
施工完了 → 使用前自己確認 → 連系・運転開始
という流れを経て、はじめて「安全に使える発電所」になります。
さらに、施工会社の中には十分な検査をしたくても、次のような理由で
“できない”状況にあるケースもあります。
そのまま運転を開始してしまうと、
「発電はしているが、本来より発電量が低い」
「配線や接続に問題を抱えたまま運転してしまう」
といったケースが起きる可能性があります。
特に初期不良や施工不良は、最初にしか気づけないものも多く、
運転開始後は原因が分かりにくくなることがあります。
だからこそ、施工の後に行う“使用前自己確認は最後の大切なチェック”なのです。
まず大切なのは、太陽光発電所を「見て分かる部分」で異常がないかを確認することです。
外観の不具合は、そのまま発電量の低下や安全トラブルにつながることが多いため、最初のチェックとしてとても重要です。
これらの外観チェックだけでも、将来のトラブルを大きく減らせます。
特にパネル割れやケーブル損傷は、発電不良だけでなく火災の原因にもなりかねません。
次に、見ただけでは分からない「電気の状態」を確認します。
ここは専門的な測定器が必要になる部分で、発電所の安全性と性能を左右する重要な工程です。
これらの測定は、発電所が「安全に電気を流せる状態か」「設計通りの発電ができているか」を評価するために欠かせません。
特に IV カーブ測定は初期不良の発見にとても効果的で、施工不良の早期発見にもつながります。
太陽光発電所は、書類や写真が揃っているかどうかで、後からの対応のしやすさが大きく変わります。
特に保険・保証の申請や、第三者による点検の際に必要になります。
これらがきちんと残っているかどうかは、後々のトラブル対応や保険・保証を使う場面で大きな差を生みます。
十分な書類が揃っていない場合、原因調査が難しくなり、保険が下りない可能性もあります。
まず最初に押さえておきたいのは、使用前自己確認を行わずに運転を開始すると、法令違反にあたる可能性があるという点です。
太陽光発電設備は「電気工作物」に該当し、使い始める前に安全性や電気的な状態を確認することが求められています。
この確認を怠ったまま運転を始めると、事故が起きた際に「必要な確認をしていなかった」として責任を問われるリスクが高まります。
法令違反の可能性があるだけでなく、その後の発電量・安全性・保険の適用にも大きな影響を及ぼすため、使用前自己確認は必ず実施しておくべき工程です。
使用前の確認を行わないまま運転を開始すると、「発電はしているのに、なぜか収益が伸びない」という状況に陥ることがあります。
原因の多くは、施工時のミスや初期不良が発電性能に影響しているケースです。
特にストリング構成ミスや初期不良は、運転開始後に見つけても取り返しがつきにくいものです。
早期に発見できるのは「使用前自己確認」の段階だけといっても過言ではありません。
太陽光発電所は電気設備である以上、安全性の確認をしないまま運転すること自体が大きなリスクです。
こうしたリスクは見た目からでは判断できず、専門的な測定でしか発見できないものも多くあります。
「とりあえず動く」状態でも、内部では深刻な問題が起きている可能性があります。
使用前に状態を記録しておかないと、保険やメーカー保証の適用時に「いつ不具合が発生したのか」が分からなくなり、トラブルになることがあります。
使用前自己確認の記録は、設備の“健康診断書”のような役割を果たします。
最初の状態を残しておくことで、後のトラブル対応がスムーズになり、保険・保証の問題を避けやすくなります。
こうしたリスクを考えると、「動けばよい」ではなく、
運転前にしっかり確認し、記録を残しておくことの重要性がよく分かります。
使用前自己確認は、法律や技術基準に基づく専門的な検査であり、
実際の作業・測定は専門業者が行うべき工程です。
そのうえで、発電所の状況を把握するために、オーナーが「知っておくと安心なポイント」を挙げると次のようになります。
これらは実際に作業を行うものではなく、
「こうした項目が検査対象になる」ことを理解しておくための情報です。
使用前自己確認そのものは、必ず専門業者に依頼する必要があります。
使用前自己確認の中心となる工程は、専門的な測定器・知識・経験が不可欠であり、
オーナー自身が行うことは事実上不可能な内容です。
これらは、電気工事士や電気主任技術者などの資格・経験に基づく判断が必要となるため、
専門業者に任せることが安全性・法令遵守・発電性能のすべてにおいて最善の選択です。
特に IV カーブ測定や配線状態の評価は、施工不良・初期不良を早期に発見できる重要な工程であり、
正しい検査が行われるかどうかで、発電所の長期安定運用に大きな差が生まれます。
使用前自己確認は、太陽光発電所の「安全性」と「長期的な発電量」を左右する重要な工程です。
そのため、外部の専門会社に依頼する場合は、次のようなポイントを押さえておくと安心です。
これらの条件を満たす会社であれば、
形式的にチェックするだけではなく、将来の発電量や設備の安全性を守るための“本当に意味のある使用前確認”を行ってくれる可能性が高くなります。
適切な検査が行われれば、初期不良や施工ミスを初期段階で発見でき、
結果として、発電所の収益性・安全性を長く保つことにもつながります。
太陽光発電の「使用前自己確認」は、単なる形式的なチェックではなく、
・法令・技術基準の観点から求められる安全確認
・長期的な発電量と設備価値を守るためのスタートライン
と言えます。
太陽光発電所のオーナーとしては、
「施工して終わり」ではなく、「使用前に何をどこまで確認したのか」を
きちんと把握し、必要に応じて専門会社の力も借りながら、
安全で安定した発電所運営を行っていただくことをおすすめします。
使用前自己確認の具体的な進め方や、外部の専門会社への依頼を検討される場合は、
記事内に設置したバナー・問い合わせ窓口なども参考にしつつ、
ご自身の発電所の状況に合ったサポートを活用してください。