省エネの教科書とは

【5分で分かる】GHP(ガスヒートポンプ)とは? メリット・デメリット・補助金

この記事を読んでいる方は、
GHP(ガスヒートポンプ)について

「災害時にも役立つ空調」
「節電にもなる空調」

このような情報から
「より詳しく知りたい」と思われた方が多いのではないでしょうか?

GHP(ガスヒートポンプ)は、ガスエンジンで稼働する空調機器です。

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、
災害に強い」「節電になる」ことが主な特徴です。

しかしながら、メリットだけでなくデメリットもあります。

そして「税制優遇」や「補助金」を受けることもできます

この記事では、GHP(ガスヒートポンプ)の基礎知識から、
メリット・デメリット、税制優遇や補助金までわかりやすく解説して行きます。

ぜひ御社の BCP対策 や省エネにお役立てください。

※「蛍光マーカーが引いてある専門用語」にカーソルを合わせれば解説が表示されます。
省エネにあまり詳しくない方にも分かりやすい記事をお届けするため、
あらゆる専門用語に解説を付けています。どうぞお役立てください。

GHP(ガスヒートポンプ)とは?

それではまず最初に、GHP(ガスヒートポンプ)の基礎について確認して行きましょう。

GHP(ガスヒートポンプ)は「ガスヒートポンプ」の他にも、
「ガスヒートポンプエアコン」「ガスヒーポン」などと呼ばれることがあります。

これらは全て GHP(ガスヒートポンプ)のことを指しています。

ガスエンジンで稼働する空調

GHP(ガスヒートポンプ)とは、簡単に言ってしまうと「ガスエンジンで稼働する空調」のことです。

電気で稼働する空調と何が違うの?

電気で稼働する空調(EHP と呼ばれます)との違いは、エアコンの コンプレッサ
「電気モーター」ではなく「ガスエンジン」で動かしているという点だけです。

細かな仕組みまで理解しなくても、ここさえ抑えておけば大丈夫です。

コンプレッサとは?
 
コンプレッサとは、強い圧力をかけて気体や液体を送り出す装置のことです。

空調のコンプレッサは、冷媒を空調機に送り出す役割を担っています。

コンプレッサ以外(ファン等)では電気も消費する

GHP では、コンプレッサ はガスエンジンで稼働しますが、ファン等は EHP(電気で動く空調) 同様に電気で稼働します。

コンプレッサ は空調機器の中で最も使用エネルギーが大きな機器になりますので、
EHP(電気で稼働する空調) に比べて、消費電力を大きく削減できます。

どんなガスを使用しているの?

GHP(ガスヒートポンプ)は、LPガス や都市ガスで使用される 13A を燃料にしています。
(この記事では LPガス を燃料にしたGHPをご紹介します)

LPガス の特徴については次の項で解説していきます。

LPガスの特徴

LPガスとは?

LPガス とは「都市ガス」のように「ガス管を使って供給されるガス」ではなく、
写真のような「ガスシリンダー(ガスボンベとも言います)」や「バルク貯槽」で施設のそばに保管し、ガス機器に供給するガスです。

LPガスシリンダー

バルク貯槽


※近距離ですが、少し離れた場所から供給される LPガス もあります。
 企業に設置する場合には、施設のそばに設置するのが一般的です。

特徴1.災害に強い

この LPガス は「災害に強い」点が大きな特徴のひとつです。

ガス管や電線を使わない

前述のように、LPガス はガス会社からガス管を通じて供給されるわけではなく、
施設内で貯蔵しておくことができます。

都市ガスや電気のように、自然災害でガス管や電線が被害を受けて止まることが無い為、
災害に強い燃料」と言えます。

燃料が劣化しにくい

ディーゼル発電機などに使用される燃料の「軽油」などは、6か月ほどの保管期間になっていますが、
LPガス は一般的には劣化はしないと言われています。

燃料が劣化して使えなくなるリスクが少ないことも、大きなメリットのひとつです。

供給の途絶が少ない

さらに「供給の途絶」が少ないことも、災害に強い大きな要因です。

一般社団法人LPガス協会によると、下記のような大規模災害時にも
「供給途絶」や「二次災害」が起こっていません。

平成28年4月 熊本地震
平成28年8月 台風10号
平成29年7月 九州北部豪雨
平成30年2月 北陸豪雪
平成30年6月 大阪北部地震
平成30年7月 西日本豪雨
平成30年9月 台風21号
平成30年9月 北海道胆振東部地震

出典:一般社団法人全国LPガス協会「LPガス業界における大規模災害の取組について」

特徴2.環境にやさしい

LPガス の2つ目の特徴は「環境にやさしい」点です。

CO2排出量が少ない

LPガス は、石油や石炭などに比べて「CO2排出量が少ない」特徴があります。

出典:一般社団法人広島県LPガス協会「LPガスの基礎知識」

また、酸性雨の原因となるSOX(硫黄酸化物)の排出もほとんどありません。

エネルギー効率が高い

電気の場合、発電所から使用する施設に届くまでに、発電ロスや送電ロスが発生します。
この為、実際に電気を使う施設に届くのは「発電所で作られた電気の37%」しかありません。

しかし LPガス においては、ロスは生じずに100%供給されるため、
ほとんど無駄がありません。

GHP(ガスヒートポンプ)4つのメリット

LPガス の特徴をお分かり頂けたところで、
GHP(ガスヒートポンプ)の4つのメリットをご紹介いたします。

メリット1「コスト削減効果が高い」

空調の消費電力は大きい

まず、各業種ごとの消費電力比率を見てみましょう。


大半の業種において、消費電力に占める空調の割合が大きい傾向があります。

このことからも、企業の省エネにおいて
空調の省エネ」は「最も削減効果の高い施策である」と言えます。

1.消費電力を削減

それでは GHP に変えることで、どれほど電気を削減できるのでしょうか?

出典:一般社団法人全国LPガス協会「ガスエネルギー利用によるメリット」

図のように、EHP(電気エアコン)と比較すると、
GHP の消費電力は「約1/10」まで削減できます。

2.ピークカットで基本料金を削減

GHP を導入することで削減できるのは「使用する電力」だけではありません。
ピークカット」効果で「基本料金」も下げることができます。

図のように、最も電気を使用する時間帯の使用電力を GHP で下げることができます。

電気の基本料金は、1年間で最も電気を使った時間帯の消費電力を元に決定されるため、
このようにピーク時の使用電力を抑えることは、基本料金の削減にも繋がります。

ピークカットについて詳しくはこちら

ピークカットとピークシフトとは?電気料金削減のからくり

3.ランニングコストを削減

電気代が下がっても、その分ガス料金が高くなっては意味がありません。

出典:一般社団法人全国LPガス協会「ガスエネルギー利用によるメリット」

一般社団法人全国LPガス協会によると、上記のようにガス料金を含めても、EHP より削減することが可能です。

ランニングコスト試算例

ランニングコストを46%削減できるという試算も出ています。

出典:ヤンマー「EHPに比べて46%削減(地域:東京)」

 

 

このように、GHP の導入は「省エネによるコスト削減効果」が高い点が大きな魅力です。

メリット2「災害に強い」

GHP(ガスヒートポンプ)は災害に強いことも大きな特徴のひとつです。

災害時、空調停止により死亡者が出ている

夏季に集中する大型停電

近年は地震だけでなく、特に夏季には集中豪雨や台風などにより、2~3週間に及ぶ大型停電が頻発しています。

名称災害分類発生停電期間被害総額
2021年の福島県沖地震地震(震度6強)2021年2月13日6時間不明
令和2年7月豪雨豪雨2020年7月3日5日1900億円
令和元年台風第19号台風2019年10月6日約2週間3961億円
令和元年台風第15号台風2019年9月5日約3週間505億円
令和元年8月の前線に伴う大雨豪雨2019年8月27日最大15時間213.5億円
北海道胆振東部地震地震(震度7)2018年9月6日約1週間1620億円
西日本豪雨豪雨2018年6月28日約1週間約1兆2150億円
大阪北部地震地震(震度6弱)2018年6月18日3時間約1800億円
鳥取地震地震(震度6弱)2016年10月21日1日1億6,000万円(当時)
熊本地震地震(震度7)2016年4月14日約1週間最大4.6兆円
東日本大震災地震(震度7)2011年3月11日約1週間約16兆9000億円
空調停止による死亡者も・・・

さらに近年の猛暑と重なり、停電による空調停止で死亡者も出ています。

千葉県は13日、君津市の特別養護老人ホーム「夢の郷」(定員80人)に入所していた
82歳の女性が12日朝、搬送先の病院で死亡したと発表した。
熱中症の疑いがあるという。死亡時、施設は台風15号の影響で停電しており、冷房などが使えない状態だった。

出典:朝日新聞デジタル「停電の特養入所の82歳死亡 冷房使えず熱中症か」

近年の BCP対策 では「災害時の空調維持」が「生命に関わる問題」になっています。

とはいえ難しい、空調の維持

とはいえ、災害用の非常用電源で空調を維持する為には、膨大な費用がかかる為、
従来の非常用電源での対応は困難です。

GHPは停電にも強い

しかし、GHP(ガスヒートポンプ)は、前述のように LPガス を主な燃料としています。

電気が止まっても空調を維持できる

自然災害で電気やガスが止まっても、燃料である LPガス は施設内に備蓄してある為、
燃料の供給が途絶えることはありません。

供給の途絶も少ない

さらに、備蓄している燃料を使い切った場合にも、
供給の途絶が少ないため、電気やガスの復旧を待たずに供給を受けることができる可能性は高くなります。

メリット3「環境にやさしい」

こちらは LPガス の項でも解説しましたが、
GHP で使用する LPガス はCO2排出量も少なく、酸性雨の原因となるSOX(硫黄酸化物)の排出もほとんどありません。

メリット4「暖房の立ち上がりが早い」

GHP のメリットのひとつとして「暖房の立ち上がりが早い」点も大きな特徴です。

エンジンの廃熱も利用できるため、EHP(電気を使用した空調)よりも暖房の立ち上がりが早く、外気温が低いときでも高い暖房能力を実現できます。

GHP(ガスヒートポンプ)3つのデメリット

とはいえ、GHP(ガスヒートポンプ)にはメリットだけがあるわけではありません。
デメリットもあります。

デメリット1「メンテナンスの手間と費用がかかる」

GHP は、EHP(電気による空調)以上にメンテナンスが必要になります。

自動車のエンジンのように定期的なメンテナンスが必要

GHP(ガスヒートポンプ)は、ガスでエンジンを稼働しています。

つまり自動車のエンジンと同じように、定期的なメンテナンスが必要になるのです。

メンテナンスは5年に一度

定期点検の頻度は、ほとんどの機種で「5年に一度」の頻度が必要とされています。

正確には「5年または10,000時間の運転」を越えた時にはメンテナンスが必要になります。

分かりやすく自動車を例にして例えると、時速40km/hで40万km(地球10周分)走るほどの運転量が10,000時間の運転に相当します。

メンテナンスはメーカーが年一回やってくれるケースも
 

メンテナンスは、メーカーが行ってくれるのが一般的で、年一回の保守点検契約になることが多いです。

メーカーにもよりますが、15年までの契約で、以後は買い替えか、他の保守メンテナンス会社を探す必要が出て来る場合もあります。

保守/メンテナンス会社をどう選ぶかも導入時に考えておくべき注意点です。

デメリット2「設置スペースを多くとられる」

EHP よりも広い設置スペースが必要になる点もデメリットのひとつです。

デメリット3「導入コストが高い」

続いてのデメリットは「導入コストが高い」点です。

コストの削減効果も高い GHP ですが、本体価格は EHP より高くなってしまいます。

受電設備を含めるとEHPの方が高くなるケースも

本体価格では EHP の方が安いケースが一般的ですが、
EHP は場合によっては、受電設備にも大きな改修が必要な場合があります。

その際には、EHP の導入コストの方が高くなるケースもあります。

税制優遇や補助金が使える

次の項で詳しく解説しますが、GHP には「税制優遇」や「補助金」を活用できます。
こちらの効果も併せて検証すると良いでしょう。

大事なのは、費用対効果と回収期間

GHP 導入でよく見極めるべきなのは「費用対効果」と「回収期間」が見合うかどうかです。
販売店に見積りを出しながら、以下の点を元に検討すると良いでしょう。

GHP導入において見るべきポイント
1.EHP と比較して導入コストはどちらがかかるか?
2.メンテナンス費用を加味した年間削減額で、何年で導入コストを回収できるか?
3.災害時の空調維持を付加価値として加えてどう捉えるか?

国からの導入支援

GHP の導入には、国からの補助として「税制優遇」や「補助金」が活用できます。

税制優遇「中小企業経営強化税制」

GHP 導入で受けることができる税制優遇が「中小企業経営強化税制」です。

中小企業経営強化税制とは?

該当する業種、設備について「即時償却」または「最大10%の税額控除」を受けることができます。

即時償却とは?

通常、耐用年数に合わせて毎年「減価償却」すべきところを
即時償却」で初年度にまとめて償却することができます。

このことにより、初年度の節税ができます。

認定期日

2021年(令和3年)3月31日までとなっています。

但し、この期日は「申請」ではなく「認定」までの期日となっていますので、注意が必要です。

中小企業経営強化税制について詳しくはこちら

中小企業経営強化税制については、下記記事に該当条件などを詳しく解説しています。
よろしければご参照ください。

【令和2年版】中小企業経営強化税制による太陽光発電の優遇措置を解説

補助金「LPガス災害バルク等の導入補助金」

LPガス 設備を対象として「LPガス災害バルク等の導入補助金」を受けることができます。
GHP に関連する箇所のみ抜粋します。

補助事業の目的

災害時に、医療施設や福祉施設、避難所などのライフライン機能維持を推進する為。
つまり災害時の LPガス 活用を目的とした補助金になっています。

対象施設

対象となる施設は以下の通りです。

1.災害等発生時に避難場所まで避難することに困難が生じる施設

医療施設や福祉施設はこちらに該当します。

2.公的避難場所

自治体庁舎、公立学校、公民館、体育館など

3.一時避難となり得るような施設

民間の工場、事業所、商業施設、私立学校、旅館、マンション等のうち
地方自治体が避難所として活用できるよう認知されている施設。

補助対象設備

LPガス災害バルク貯槽またはシリンダー容器

こちらは導入することが必須になっています。
GHP の貯槽として導入する必要があります。

LPガス発電機

「令和元年度補正」では購入が必須になっています。
LPガス発電機を導入しない場合には「令和二年度本予算」で申込できます。

GHP

電源自立型もしくは、発電機より電源供給でき、停電時に使用できることが条件になっています。

補助対象の経費

LPガス災害バルク等の機器購入費と機器の設置工事費
(常時使用の配管・電気配管部分は対象外になります)

補助率

中小企業は2/3以内、それ以外は1/2以内。
但し、GHP とバルク貯槽を導入する場合、上限金額は5,000万円
バルク貯槽とGHPに加えてLP発電機を導入する場合には1億円が上限となります。

申請公募期間

令和元年度補正予算

LPガス発電機も導入する場合にはこちらも選択できます。
第3回 令和2年7月15日(金)~令和2年7月31日(金) 消印有効

令和2年度予算

LPガス発電機を導入しない場合にはこちらになります。
第3回 令和2年8月05日(水)~令和2年8月26日(水)消印有効

※公募期間について詳しくはこちら

上記期間以降も、募集が追加される可能性があります。
詳しくは下記リンクより、追加の募集等ご確認ください。

災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金

補助金について詳しくはこちら

【令和2年版】「GHP」や「LPガス発電機」に使える補助金

特にこんな施設におすすめ

GHP は、特に下記のような施設におすすめです。

病院や介護施設

前述の通り、災害による停電時には空調の停止で死亡者が出ています。
特に病院や介護施設で高齢者の方が亡くなるケースが多くなっています。

GHP の導入で災害時の空調維持が特に必要となるのが、医療施設と介護施設です。

学校や公共施設

学校や公共施設は、大規模災害においては「避難所」として利用されることがあります。
被災者の熱中症対策として、停電時の空調維持にGHPは活用できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

GHP(ガスヒートポンプ)について、
特徴やメリット・デメリットなどご理解頂けたのではないかと思います。

GHP は災害に強く、省エネにも繋がります。
反面、本体価格が EHP より割高になる面もあります。

補助金の活用や、現在の受電設備をうまく活用することで
導入の費用対効果が EHP を上回る可能性もあります。

ご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。
無料でお見積りいたします。

 

 

ー理解度確認テストー

それでは最後に、GHPについて簡単な確認テストを行ってみましょう。

次の記載のうち「間違っているもの」を選択してください。(複数選択)